「部下が動かない」と悩んだ時に実践したい3原則 「自ら動きたくなる」欲求を起こさせるのがコツ

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チームの士気を高めることができるリーダーは、各々に役割を与えることができます(写真:takeuchi masato/PIXTA)
「毎日頑張って仕事はしているけれど、それほど面白いとは思わない」「上に求められているような結果もなかなか出ない」「チームのメンバーを見れば、どこか冷めた印象で仕事をこなしている」「みんなで熱く目標に向かいたいけれど、それも時代錯誤な気がする」こうした悩みを持つリーダーは多いのではないでしょうか。
熱狂のデザイン 楽しく結果を出すチームのつくり方』の著者、岸昌史氏は、「誰でも本当は熱くなりたがっている。リーダーに必要なのは、メンバーが熱くなれる環境を整えることだ」と話します。そしてそれはどんなチームでも再現可能。本稿では、エクセレントチームをつくるためのリーダーシップについて紹介します。

相手を理解するように努める

日々の具体的な業務の中でメンバーにどのように働きかけていくことが有効なのか。その前提として、人を動かすために欠かせない3つの原則をお話しします。

ある日曜日の朝、ニューヨークの地下鉄で体験した小さなパラダイム転換を、私は忘れることができない。乗客は皆、静かに座っていた。ある人は新聞を読み、ある人は思索にふけり、またある人は目を閉じて休んでいた、すべては落ち着いて平和な雰囲気であった。

そこに、ひとりの男性が子供たちを連れて車両に乗り込んできた。すぐに子供たちがうるさく騒ぎ出し、それまでの静かな雰囲気は一瞬にして壊されてしまった。

しかし、その男性は私の隣に座って、目を閉じたまま、周りの状況に全く気がつかない様子だった。(中略)

私は耐えられなくなり、彼に向かって非常に控えめに、「あなたのお子さんたちが皆さんの迷惑になっているようですよ。もう少しおとなしくさせることはできないのでしょうか」と言ってみた。

彼は目を開けると、まるで初めてその様子に気がついたかのような表情になり、柔らかい、もの静かな声でこう返事した。

「ああ、ああ、本当にそうですね。どうにかしないと……。たった今、病院から出て来たところなんです。一時間ほど前に妻が……、あの子たちの母親が亡くなったものですから、いったいどうすればいいのか……。子供たちも混乱しているみたいで……」
『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー著/ジェームス・スキナー 、川西茂訳/キングベアー出版)

人を動かす原則の1つめは、相手を理解するように努めることです。

男性の言葉を聞くまで、乗客たちには親子が「騒いでいる子どもと甘やかしている父親」としか見えていなかったでしょう。それが親子の事情を理解したことで、目の前の状況がまったく違うものになりました。

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