「壮絶な卒業試験」38年戦う武藤敬司が今語ること レスラー、経営者…「3つ以上の顔を持つ男」の軌跡

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満身創痍の中で武藤を支えていたもの

経営者を退いた武藤は、フリーを経て2021年にプロレスリング・ノアへ入団。50歳を超えても名勝負を繰り広げていた武藤は、潮崎豪を下しGHCヘビー級王座を初戴冠。史上3人目となる3大メジャー団体(新日本、全日本、NOAH)ヘビー級シングル王座完全制覇を達成した。

全盛期のような動きはできなくなっても、「感性とかはまだ誰にも負けない」と自信をのぞかせる。「プロレスとはゴールのないマラソン」というスローガンを掲げてリングで戦い続けていたが、60歳を前にした2022年6月にゴールの瞬間がついに訪れてしまう。

理由は、股関節痛の悪化。主治医から「このままプロレスを続ければ車イス生活になる」と忠告されて引退を決意する。武藤のレスラー人生はずっと膝の怪我との戦いだった。若手の頃から手術を繰り返してきた両膝は限界に近づき、2018年3月に人工関節にする手術を受けながらリングに立ち続けていた。

「44歳から55歳くらいは、歩くのも大変なくらい膝が悪かったよ」。そこまで満身創痍の状態で武藤は、何故リングで戦い続けることができたのか。

(写真提供:ノア)

「結局は、プロレスしかできないからね。痛いのは痛いよ。だけど観客を前にリングに立ったら、プロレスを魅せたい気持ちが勝っていた。俺の場合、メインイベンターを務めることが多かったし、そうなると休めないよ。家族は、ほぼ介護みたいな体制で俺をサポートしてくれた。プロレス界の後輩たちの支えや周りからサポートがあってここまでやれたんだ」

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