「壮絶な卒業試験」38年戦う武藤敬司が今語ること レスラー、経営者…「3つ以上の顔を持つ男」の軌跡
「プロレスの神様が最後の試練を俺に与えてるなと思う。壮絶な卒業試験を課せられた気分だよ。今、頭の中が全部ストレスの固まりなんだ」
2月21日に東京ドームで引退試合が開催される武藤敬司は、レスラー人生の終幕となるリングを前に絶望に打ちひしがれていた。
ベストバウトと言われる1月の「ムタVS中邑」戦で…
「本当にタイミングが悪くてね。1月のグレート・ムタのラストマッチの試合で両脚の大腿部の肉離れをおこしちゃって。数週間経つても全然治ってなくて、痛みが鋭くて滅入ってるよ」
1月は、グレート・ムタの引退ロードが行われた。元旦に、SHINSUKE NAKAMURA(中邑真輔)のスペシャルシングルラストマッチも行われ、「年間ベストバウトじゃないか」という声が寄せられた。武藤にとっても「2人にしか描けないアート、芸術的な最高の戦い」と表現した。
しかし、激闘の代償は想像以上に武藤の体を追い詰めていた。
そんな中で訪れた筆者に、「インタビューのタイミング悪いよ」と武藤からツッコミが入った。撮影もなるべく動かないようにという配慮の中で行われた。
稀代の天才レスラーは、満身創痍になりながらも武藤敬司、グレート・ムタ、経営者(社長や会長)と、3つ以上の「顔」で戦ってきた。それぞれの顔で実現したかったこと、プロレスを通じてどんなメッセージを届けたかったのか。
まもなく終幕を迎える38年間の激動のレスラー人生を振り返ってもらった。
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