出生率0.81の「韓国」で起きている少子化の深刻 OECD加盟国の中で1を唯一下回る、対策は?

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一方、厚生労働省の「雇用均等基本調査」によると、2021年における民間企業に勤める日本の男性の育児休業取得率は13.97%で過去最高を更新したものの、女性の85.1%とはまだ大きな差を見せている。

日本政府は男性の育児休業取得率を2025年までに30%に引き上げるという目標を掲げており、それを達成するために、2021年6月、男性の育児休業取得促進を含む育児・介護休業法等改正法案を衆議院本会議において全会一致で可決・成立させた。その結果、2022年10月には「出生時育児休業(産後パパ育休)」が新たに創設されることになった。

「出生時育児休業(産後パパ育休)」とは、男性労働者が子どもの出生後8週間以内に4週間までの休業を取得できる制度であり、原則として休業2週間前までの申し出により休暇取得が可能になった(既存の育休制度では原則1カ月前までの申し出が必要)。

また、育児休業4週間を分割して2回取得することと、労使協定を締結している場合に限り、労働者と事業主で事前に調整して合意した範囲内で就業することもできるようになった。既存の制度では原則禁止とされていた育休中の就業が認められることになったのは「出生時育児休業(産後パパ育休)」の大きな特徴だと言える。

一方、育児休業期間中に支給される育児休業給付は、育児休業開始から最初の6カ月間は休業前賃金の67%を上限(育児休業の開始から6カ月経過後は50%)としている。専門家の間では育児休業給付の引き上げを主張する声もあったそうだが実現までは至らなかった。

日本政府が男性の育児休業取得率30%の目標を実現するためには、もしかすると韓国で実施されている「パパ育児休業ボーナス制度」と「3+3親育児休業制度」が参考になるかもしれない。経済状況の改善や賃金の大幅引き上げの実現がなかなか難しい現状を考慮すると、育児休業中の所得確保は子育て家庭においてとても大事な部分であるからだ。

出生率の引き上げに必要なこと

岸田首相は今年1月4日の年頭記者会見で「異次元の少子化対策に挑戦する」と表明し、1月31日の衆院予算委員会では、少子化対策の一環として結婚を控えた若いカップルや子育て世帯への住宅支援を拡充する意向を示した。今までの子育て世帯を中心とした政策から結婚を控えている若者まで支援を広げるなど、政策の対象を拡大したことは意義があると考えられる。

今後、日韓が少子化問題を解決し、出生率を引き上げるためには子育て世帯に対する対策だけではなく、未婚率や晩婚率を改善するための対策により力を入れるべきであり、そのためには何よりも安定的な雇用と賃上げが必要であるだろう。

また、若者が結婚して子育てができるように負担が少ない公営住宅や民間の空き家を活用した支援も欠かせない。さらに、多様な家族を認めて社会保障制度の恩恵が受けられる社会をより早く構築する必要があると考えられる。

日韓共に女性に偏りがちな育児や家事の負担を夫婦で分かち合い、ワーク・ライフ・バランスがより実現できる社会が構築され、出生率の改善にもつながることを望むところである。

金 明中 ニッセイ基礎研究所 主任研究員

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きむ みょんじゅん / Myoung-Jung Kim

1970年生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科前期・後期博士課程修了(博士、商学)。独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年からニッセイ基礎研究所。日本女子大学現代女性キャリア研究所客員研究員、亜細亜大学創造学部特任准教授を兼任。専門分野は労働経済学、社会保障論、日・韓社会政策比較分析。近著に『韓国における社会政策のあり方』(旬報社)。

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