出生率0.81の「韓国」で起きている少子化の深刻 OECD加盟国の中で1を唯一下回る、対策は?
第1次育児支援政策の特徴は政策の内容を児童の年齢別に設定したことである。第2次育児支援政策では、第1次育児支援政策の内容をより具体化し、育児支援施設の利用機会の拡大、育児費用に対する家計の負担軽減、育児サービスの質向上を目指し、政策を推進した。
とくに、2004年に初めて実施した全国保育実態調査により、地域別の保育に対する需要と供給の実態が把握されることになったので、その情報に基づき保育施設を追加的に供給する必要がある地域を選定するとともに、民間の保育施設のサービス向上のための支援対策を実施した。
その後、保守政権の李明博政権(2008年2月25日~2013年2月25日)時代には、2009年から養育手当制度が導入され、2011年には養育手当制度の対象をすべての子どもに拡大した。アイサラン・プランでは基本的には保育に対する国の責任を強化するとともに、需要者中心の保育政策を実施することを目標にしており、子どもと親が幸せな国を作るための3大推進戦略と6大課題を挙げた。
3大推進戦略としては、嬰幼児(乳幼児)保育、国家責任制の拡大、信頼回復を、そして、6大課題としては、親の費用負担軽減、需要者に合わせたサービスの提供、サービスの質向上、保育を担当する人材の専門性向上、指示伝達体系の効率化、保育事業の支援体制確立を設定した。
近年韓国では男性の育休取得者数が増加
さらに、同じ保守政権の朴槿恵政権(2013年2月25日~2017年3月10日)時代には、第2次中長期保育計画の実施により、2013年3月から満0~5歳のすべての児童に対して養育手当が支給され無償保育が実現された。また、2014年10月からは男性の育児休業取得を奨励し、少子化問題を改善するために「パパ育児休業ボーナス制度」を実施した。
そして、進歩政権の文在寅政権(2017年5月10日~)は2018年9月から児童手当[子ども1人当たり1カ月10万ウォン(約1万0449円※)を支給]を導入し、2019年10月からはその支給対象を満7歳未満まで拡大した。合計特殊出生率が低下する中で韓国の歴代政権は、保守政権でも進歩政権でも保育などの子育て関連政策には積極的な立場を表明していると言える。
一方、2022年5月に発足した尹錫悦政権は、2022年7月に「人口危機対応タスクフォース(TF)」を設け、少子化対策を議論しているものの、まだ具体的な対策は発表していない。
このような少子化対策の効果はまだ現れていないものの、近年韓国では男性の育児休業取得者数が大きく増加しているのでその点に注目したい。韓国における2002年の男性育児休業取得者数は78人で、全育児休業取得者数(男女合計)に占める割合はわずか2.1%にすぎなかった。
しかし、2021年には2万9041人が育児休業を取得し割合も26.3%まで上昇した(2022年第1四半期に育児休業を取得した男性は7993人で前年同期比25.6%増加)。
■男女別育児休業取得者と全育児休業取得者のうち男性が占める割合
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