「女性が辞めない会社」は、全員17時に帰る 連日の深夜残業から生まれた新しい働き方

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やがて、社員全員で参加したある研修会社の合宿研修でその理由が判明する。研修中に出てきたのは、「目標もないし貢献もできていない。何を求められているのかわからないので、期待されていないし、認められてもいない」という仕事へのやりがいを失った社員の声だった。

当時は人事制度がまだ整っておらず、昇給は全社員一律、評価制度もなければ個人の到達目標もなかったのだ。「早く帰れてもやりがいがなければ意味ないじゃん!と初めて気付きました」(岩崎氏)。

そこで、会社設立から8年目にして人事制度の構築を急いだ。そこで各職種の到達目標を書き出してみると、アシスタント職のスキルアップ項目がひどく稚拙なものに思えた。そこで、補助的な業務だけを担当するアシスタント職をなくすことにした。「業務内容を渡すのではなく使命を渡すと『私はアシスタントが向いているんです』と言っていた社員も自らの裁量で動いてくれる。結果的に全社員が「考える仕事」に時間を使うこととなりました」(岩崎氏)。

約半分がワーキングマザー

ランクアップは現在、社員の約半分がワーキングマザーだ。2歳の子どもを持つ宣伝部の奥野愛さんはこう話す。

「会社への不満?ありません。育児と仕事の両立は大変ですが、みんな当たり前のようにやっています。全社員が自分にしかわからない仕事がないように働いているので、保育園からの呼び出しで早退しても仕事が滞ることがありません。予防接種や保育園の面談時には時間休を使っていますが、独身の社員も時間休を取って歯科の予約を入れたりしていますよ」

子どもがいてもいなくても、すべての社員が効率的に仕事をこなす仕組みができているのだ。

「女性が働きやすい会社」とは、産育休を取得できる、時短勤務や在宅勤務といった両立支援制度がある、というだけでは不十分だ。男女ともに仕事の効率化に取り組み、時間外労働を減らす仕組みを確立している会社ことこそ「働きやすい会社」の条件なのかもしれない。

堀越 千代 東洋経済 記者

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ほりこし ちよ / Chiyo Horikoshi

1976年生まれ。2006年に東洋経済新報社入社。08年より『週刊東洋経済』編集部で、流通、医療・介護、自己啓発など幅広い分野の特集を担当してきた。14年10月より新事業開発の専任となり、16年7月に新媒体『ハレタル』をオープン。Webサイト、イベント、コンセプトマガジンを通して、子育て中の女性に向けた情報を発信している

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