広告やビジネスに「素人っぽさ」が欠かせないワケ 今の時代、完全無欠さよりも「共感」が鍵となる

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「私たちは、注目を集めるためにシャンデリアにぶら下がるようなタイプではありません」

「セレブを雇って宣伝してもらうこともありません」

「私たちはベアミネラルの商品を愛していますが、それ以上にお客様を愛しています」

たしかな商品で口コミによって愛されてきたという自負と、顧客に対する思いを込めた企業精神をしたため、終盤は、「この長文の手紙を読んでくださり、ありがとうございました。私の夫は、これは最後まで読んでもらえないだろう、なんて言っていたんですよ(広告代理店の担当者でもないのに)」というユーモアたっぷりの文章で人柄を感じさせる。

ラストは、「もしサンフランシスコにいらっしゃることがあれば、ぜひコーヒーでも飲みながらお話ししましょう。冗談ではありませんよ」と締めて、メインオフィスのロビーにある電話番号を掲載した。

この新聞広告は、大きな反響を呼んだ。素朴で素人っぽく、親しみやすい言葉の数々は、経済的に厳しく不安定で、疑念ばかり広がる世の中にとって、緊張感をやわらげる効果があり、人々は、ブロジェットのユーモアに飛びついたのだ。

広告が従業員にも与えた良い影響

ブロジェットの長文広告は、顧客だけでなく、従業員たちとのつながりも強くしたという。

なにしろ、オフィスのロビーを通るたびに、広告を見て電話をかけてきた人たちに対して、「ええ、ぜひコーヒーを飲みにいらしてください」と語り掛ける光景を目にするのである。

従業員たちは、会社の存在意義を思い出し、創業者による、あたたかくてウイットに富んだ予想外の展開が、「やはり最高だったのだ」と感じる。
実際、広告によって商品の売り上げが伸びたが、その大きな要因は、社内の親密感が深まり、チームの連帯感が生まれ、強くなったからだと評価されている。

リーダーは、自分らしいユーモアのセンスを生かすことによって、社内の団結力を高め、やる気を引き出し、刺激を与えることができるのだ。

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