広告やビジネスに「素人っぽさ」が欠かせないワケ 今の時代、完全無欠さよりも「共感」が鍵となる

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従業員たちを対象とした2019年の調査では、「何を克服すれば成功できるかを、リーダーが理解していること」や「ふつうの人のように話すこと」がもっとも多い回答だった。

異様なほど優秀なリーダーよりも、「真っ当で共感をもてるリーダー」が求められているということである。野心的であるに越したことはないのだが、欠点があっても、それが共感され、受け入れられるのだ。

かつてのリーダーは、崇拝の対象だった。しかし、現代のリーダーは、みんなから理解される必要があるとも言える。

SNSの普及によって、リアルタイムの最新情報に慣れてしまった我々は、作り込んだプロの作品よりも、編集されていないありのままの情報や、著名人のプライベートや裏話を知りたがる。

だからこそ、透明性が損なわれると「何か隠している」と勘ぐる心理がはたらく時代でもあるのだ。

ありのままの個性を見せよう

「ベアミネラル」のレズリー・ブロジェットは、こういった時代背景において醸成されている消費者心理を理解したうえで、あえて素朴な長文広告を新聞に掲載したのである。

彼女は、ショッピング通販サイトQVCへの生出演においても、急に「足が痛い」と言って靴を脱いだり、商品セールスの合間に、テレビの向こうの息子に対して「もう寝なさい」と話しかけたり、ツボにはまって大笑いしてしまったりするなど、ありのままの姿を見せつづけた。

時には、司会者がにらみつけるほどの自由奔放さだったが、現実には、その生放送中、電話注文が殺到し、商品の売り上げが急激に伸びていたのだ。

感じのよい、尊敬できるリーダーより、ありのままの個性やユーモアを見せられるリーダーのほうが、信頼される時代だということに敏感であろう。

ありのままの自分でいられる職場で働きたいと思わない人など、いないのだから。

泉美 木蘭 作家・ライター

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いずみ もくれん / Mokuren Izumi

1977年三重県生まれ。24歳でイベント企画会社を起業し、即刻倒産。借金返済のために働く日々をつづったWebサイトが話題を呼び、作家デビュー。以降、週刊誌やWeb媒体等で執筆。TOKYO MX「モーニングクロス」「激論!サンデーCROSS」などテレビ番組でレギュラーコメンテーターとして出演。著書に『オンナ部』(バジリコ)、『エム女の手帖』(幻冬舎)、『会社ごっこ』(太田出版)等。趣味は合気道とラテンDJ。

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