中高一貫校で失速せずに東大を目指す過ごし方 高得点は必要なく、コツコツやれば入りやすい

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東京大学はオールラウンダー、得意科目特化タイプとも挑戦しやすい(撮影:梅谷秀司)
中学受験を突破し、志望校に入学した後は6年間どんな過ごし方をすればいいのだろうか。プロの家庭教師として20年以上、受験指導を行ってきた長谷川智也さんは「中学受験の後に伸び悩んでしまう子が決して少なくない」という。中学受験の合格は人生のゴールではない。『予約殺到の東大卒スーパー家庭教師が教える 自考モードにする 中高6年間の過ごし方』の著者でもある長谷川さんに、避けたい失速パターンや、大学受験を見据えた中高6年間の有効な過ごし方を聞いた。

中高一貫校で失速する子のパターン

中高一貫校で失速してしまう子がいるのはなぜか。長谷川さんによると大きく3つのパターンがあるという。1つ目は「神童クライシス」に陥ってしまうパターンだ。

「元・神童、元・優等生の子が、すごく頭がいい同級生や、英語ができる帰国子女に圧倒されて自信を失ってしまうケースが最も多いです。しかし、圧倒的にできる子に揉まれることこそ中高一貫校の真骨頂。ハイレベルな同級生と切磋琢磨することで自然と高みに引き上げられていくのです。お子さんが自信を失くしていたら、『その時こそが己を知るチャンス。勝負はこれからだよ』と伝えてあげてください

2つ目が、「ちょっとした挫折でつまづいてしまう」パターン。思春期の子どもは心も体も不安定で落ち込みやすい。

「親はあたふたせず、平常心を保つことが大切です。人生に挫折はつきもの。家族や友人の支えがあれば、子どもは必ず自力で立ち直っていくので温かく見守ってあげたらと思います」

失速パターンの3つ目が「気づいたら大学受験間近だった」パターンだ。中高一貫校は高校受験がないぶん、「中だるみ」が避けられない。勉強をサボっていることを学校サイドが見落としたまま進級してしまうケースもある。

「管理度合いの高い親や塾に与えられたものをこなして中学受験を突破した子は、合格後の解放感が大きく勉強より遊びに走ってしまうことがあります。僕の教え子たちを見ると、開成中学の真ん中から下の成績の子達の多くは全く勉強していません。男子に限らず女子でもサボり方がひどい子は定期テストの前日まで本当に何も勉強しないケースもあります。ただ例外的に、優秀な女子校は中だるみがありません。おそらく勉強をやる子に迎合する雰囲気があるからだと思います」

中学受験を親が管理することで乗り越えたケースでは、入学後も注意が必要だという。

「『自走できていないな』と思ったら、いきなり手を離すのはやめたほうがいいと思います。中2くらいまでは親が見守りながら徐々に手を離しましょう。もし高2まで手が離れないなら、高3まで親が見るしかありません。しかしそうなると子どもが全部お母さんに聞くようになってしまい、自立のタイミングが難しくなってしまうと思います」

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