中高一貫校で失速せずに東大を目指す過ごし方 高得点は必要なく、コツコツやれば入りやすい

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塾に頼らず学習計画を立てるには、通っている中高一貫校の「お世話焼き度」を考慮しながら学習計画を立てることが大切だという。長谷川さんは、中高一貫校の「お世話焼き度」を次の3つに分類する。

「1つ目は『自由放任系』。麻布や桜蔭など、カリキュラムのレベルが高く、小テストや補習が少ないぶん『自分でやる』ことが身に付いていない子は大きくサボってしまう可能性が高いです。

2つ目は『規律・お世話焼き系』。海城や攻玉社など、学校側が『学校完結型』を表明しているところが多く、学校のカリキュラムだけで大学受験勉強の準備がしっかりできます。

3つ目は『バランス系』。灘や渋谷教育学園渋谷など、自由放任の雰囲気はありますが、補習もあるなどバランスが取れています。

お世話焼き度が高いほど、学校のカリキュラムにのっとって勉強を進めていくだけで大学受験に備えることができます。お世話焼き度が低い場合は学校のペースに任せず自分で課題に気づく努力をして勉強を進める必要があります。どうしてもそれが難しければ、ペースメイキングとして塾を利用するのは有効だと思います」

わが子を「愚かな優秀者」にしないために

中高一貫校の6年間の過ごし方において、長谷川さんが最も重視しているのが「自考モード」だ。長谷川さんの造語で、人生の課題に自分で解決の道筋を考えられる力があり、生きるための適切な自信を持っていることだという。

中高時代は極めて優秀だった子が社会人になってから正解のない人生の問題にぶつかった時に不具合が出てしまうことが本当に多いのです。僕はこれを『愚かなる優秀者』現象と名付けています。そうならないためには、中高6年間で早めに挫折を経験することが必要だと思います。

先に挙げた『失速パターン』は、若いうちに成功パターンを一度崩して、他の戦い方を学ぶ絶好の機会だといえます。若いのでまだ傷が浅くてすみ回復も早い。大人になってから失速してしまうと傷が深く、生きづらい人生になってしまうことが多いです。東大出身者に話を聞くと、お母さんになんでもやってもらっていた人が多い。僕の母もそうでしたから、社会人になってから周囲への気遣いや率先して人のための動くことができず先輩にずいぶん怒られました」

挫折体験は当然つらく、思春期の子は自信を失いやすい。長谷川さん自身も「東大を目指して勉強しているのに校内ですら1位になれない」と苦悩し「東大などいっそなくなってくれたら」と思い詰めることがあったという。

「それでも自分で考えられるだけの努力をやりきった時、『努力できたことだけでありがたかった』と気づきました。恵まれた環境でないと中学受験なんてできなかったし、経済や健康の面でも当たり前のことではないと自覚しておくことが大切だと思います。

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また、思春期の子どもにとっては『斜めの関係』が重要だと思います。これは、親や学校の先生とは別の、家庭教師や少し年上の先輩との関係のことをいいます。僕自身、高校生の教え子と一緒にバーベキューをしたり、野球を見に行ったりすることがあります。くだらない話をする中で、その子なりの悩みをポツポツと話してくれることもあり、解決策や目標を探すヒントになることがあるかもしれません」

中高6年間では、「ほとんどの子が1回や2回は挫折すると、親御さんが覚悟しておくことが大切」だという。

何事もなくすんなり成長した子を僕は見たことがありません。親御さんにできるのは、お子さんを温かい言葉で励まし続けてあげることだけです。子どもが落ち込んでいる時に、親御さんが暴言を吐いたり感情を爆発させたりすると1番子どもを傷つけます。なるべく落ち着いてお子さんの葛藤と努力を見守ってあげてください。家族全員ができる限りメンタル面で健やかでいることが大切だと思います」

都田ミツコ 編集者・ライター

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とだ みつこ / Mitsuko Toda

1982年生まれ。編集者・ライター。編集プロダクションでの勤務を経て、フリーランスに。

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