仮面高血圧には大きく「早朝高血圧」「昼間(職場)高血圧」「夜間高血圧」がある。30~50代に多いのが、2番目の昼間(職場)高血圧だ。
「要するに、職場で強いストレスを感じて血圧が上がるタイプで、とくに喫煙者や肥満の人に多く見られます。仕事が終わってストレスから解放されると血圧が下がるので、病院や家庭での血圧測定では見つけられず、高血圧と診断されにくいのが特徴です」
この昼間(職場)高血圧について、苅尾医師らが以前、24時間のウエアラブル血圧計を用いて血圧とストレスの関係を調べたことがある。すると、ストレスと感じるたびに血圧は上がり、最大で15mmHgぐらい跳ね上がることもあったという。
また朝の出社時間より昼、昼より夕方の退社時間のほうが血圧は高くなっていることもわかった。苅尾医師は「夕方に上がるのは仕事が終わらず、ストレスが蓄積しているからではないか」と分析する。
職場でも血圧を測る習慣を
一時的な高血圧だからといって、意外と侮れないのが仮面高血圧だ。
「仮面高血圧はつねに血圧が高い人と同程度か、それ以上に脳や心臓、腎臓にダメージを与えやすく、循環器疾患のリスクが高いのです。また、血圧が正常な人の約2倍、循環器疾患を起こしやすいことも明らかになっています」と苅尾医師は警鐘を鳴らし、できれば職場でも血圧を測る習慣をつけ、仕事中の血圧の状態をチェックしておいたほうがいいと語る。
参考までに、正しい血圧の測り方を紹介しておく。なかには低い値が出るまで測り続ける人がいるようだが、1度につき測定は原則2回までとされている。
・背もたれつきの椅子にすわって、リラックスする
・足は組まない
・上腕にカフを巻く。カフは心臓と同じ高さにする
・原則としてカフを巻くのは利き手と反対側
・1~2分安静にしてから測定し、1度で2回まで測定する
仮面高血圧が問題なのは、本人に自覚がないという点だ。
仮面高血圧の場合、本人に自覚がないまま高血圧によって体に負担がかかり続けるので、ある日突然、循環器疾患で倒れるといったことが起こりやすい。
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