「子どもの体験格差」が今、にわかに話題になっている。
1月26日に、「子どもの体験格差解消プロジェクト」の記者会見が行われた。体験予約サイトを運営するアソビュー、社会問題の解決を目指すリディラバ、学習塾の花まる学習会、慶應義塾大学が連携。経済的困難などさまざまな理由で「体験」する機会の少ない子どもたち1000人を対象に、2025年3月末までに体験機会の提供を目指すという。
記者会見では「体験活動」の定義自体が定まっていないことへの言及があったものの、ここでいう体験とは、新幹線などで普段生活している地域以外を訪れ、自然や文化に触れたりする経験が想定されている。
教室で教科書から学ぶだけではなく、場所を移動したり、体を動かしたり、文化・芸術、自然と触れ合うことや社会科見学などが広く「体験学習」として、重要性が注目されつつある。
「体験学習が教育の中心に来ている」と記者会見で語ったのはリディラバの安部敏樹代表だ。「コロナ禍で修学旅行や遠足が制限され、体験の機会が失われていて、困難を抱える層が取り残されてしまっている。それを見逃していると、(家庭によって体験をさせる・させないの)格差がどんどん開いてしまう」と危機感を語る。
なぜ今、子どもに「体験」が必要なのか
いま、子どもの体験が、なぜ注目されているのか。
慶應義塾大学総合政策学部・中室牧子教授によると、教育経済学では最近、体験への投資に注目が集まっている。「勉強だけではなく、体験に親が時間を使っているほど、認知能力・非認知能力を高める効果があるということを示す研究がある」(中室教授)。
リディラバ安部代表も「自分たちが子どものころは地域で無償か低額で色々な体験ができたが、そういう活動が減ってきている。学校も多忙で消極的になっている。他方で、有償の体験は増えている。(そのような有償の体験にお金をかけた家庭ほど)AO入試のようなものや企業が求めるコミュニケーション能力に有利になる可能性がある」と問題意識を語る。
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