人気白熱の「体験学習」、子どもの事故をどう防ぐか スキーや川での事故、性犯罪…こども家庭庁の役割も

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性犯罪等の加害者治療にあたっている斉藤章佳さん(写真:筆者撮影)

しかし学童や塾、習い事、キャンプなどでの幅広く子どもにかかわる領域には現状、適用されない。そこで、こども家庭庁設立準備室では、イギリスの犯罪歴確認制度「DBS(Disclosure and Barring Service)」に倣った仕組みが導入できないかを検討しているという。ただし、DBSはあくまでも再犯を防止するための仕組みにすぎない。それでは、子ども向け企画をする事業者はどうすればよいか。

まずは、“複数の目”を入れることだろう。文部科学省は教育委員会に対し「児童生徒とSNS等による私的なやりとりをしてはならないことの明確化」「執務環境の見直しによる密室状態の回避等の予防的な取組等の強化」を求めている。

斉藤さんは「男児も被害に遭うことがあるということも、もっと認識が広まる必要がある」と話す。さらに、斉藤さんが指摘するのは、「子ども自身が知識を身につけていくこと」の重要性だ。

もし、大人が子どもと2人きりになろうとしたときや、ボディタッチがはじまったとき。そうしたときに、子ども自身が「おかしい」と思うことができ、それを信頼できる別の大人に話していいということを知っていれば、早期に犯罪の芽を摘むことができるかもしれない

2023年4月「こども家庭庁」発足

2023年4月に発足するこども家庭庁は、「こども安全課」をつくり、DBSも含めた子どもの安全に取り組む方針だ。これまで縦割りと批判されてきた領域を横断的にみられるようになることが期待できるからこそ、学齢期の子どもの多様な活動を含めた目配りをしてもらいたい。

実は、著者自身、大学内で大学院生として関係者の子どもを預かるサマースクールを運営したことがあるが、子どもを長時間預かるにもかかわらず、驚くほど簡単に開催できてしまう。

吉川慎之介記念基金が公表しているような安全対策の資料や、CDR(チャイルド・デス・レビュー)に性犯罪も踏まえたガイドラインを国がとりまとめて、多くの人が参考にできるようにオープンにすることにも価値はあるのではないか。

また、親からすれば安全対策を取っている団体と取っていない団体の区別はつきづらい。何かしらの認証を受ける仕組みなども検討してほしい。

ジャーナリストの中野円佳さんによる連載、第14回です(画像をクリックすると連載一覧にジャンプします)
中野 円佳 東京大学男女共同参画室特任助教

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なかの まどか / Madoka Nakano

東京大学教育学部を卒業後、日本経済新聞社入社。企業財務・経営、厚生労働政策等を取材。立命館大学大学院先端総合学術研究科で修士号取得、2015年よりフリージャーナリスト、東京大学大学院教育学研究科博士課程(比較教育社会学)を経て、2022年より東京大学男女共同参画室特任研究員、2023年より特任助教。過去に厚生労働省「働き方の未来2035懇談会」、経済産業省「競争戦略としてのダイバーシティ経営の在り方に関する検討会」「雇用関係によらない働き方に関する研究会」委員を務めた。著書に『「育休世代」のジレンマ』『なぜ共働きも専業もしんどいのか』『教育大国シンガポール』等。

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