最適な仕様やサービスレベル、および適正価格で契約できたとしても、契約期間中やその満了時に享受してきたコストメリットがすべて吹き飛ぶようなリスクや追加支払いが発生したという事態は珍しくありません。
中途解約時や満了時にかかるコストにも注意
契約書において、とくに注意すべきは下記の4点です。
①契約期間
②中途解約と違約金
③「レンタル⇔リース⇔買取」の選択
④原状回復工事
①契約期間
契約期間は短期間が基本です。必ず記載されている「契約期間」から精査します。取引先企業から「長期契約であれば、現状よりも高い割引率を適用可能です!」といった提案を受ける機会は多いと思います。通常の契約と比較して、長期契約であればさらに料金が割り引かれるため、十分メリットがありそうですが、中長期的にみると結果的に“割高”となってしまう可能性があります。
②中途解約と違約金
中途解約した場合の違約金の総支払額は事前にチェックします。契約締結前に、例えば、3年の長期契約の場合、満2年が経過した時点で中途解約すると具体的に違約金がいくらになるのかを確認しましょう。契約更新のタイミングで、複数社から見積もりを取得し比較検討する場合、仮に価格や料率が同水準の提案内容であれば、中途解約条項はできる限り制約がなく、違約金も少ないほうを選択すべきです。
③「レンタル⇔リース⇔買取」の選択
支払方式別での総額シミュレーションをします。商品の仕様や単価を十分に検討した後、最終的にその商品の購入方法として、「買取」「リース」「レンタル」のどれを選択するかによって総支払金額が変わってきます。とくに複合機やオフィスPC、法人車両などは購入時のファイナンス方法が複数あるため、比較検討が必要です。
④原状回復工事
原状回復工事の条件は契約締結前に交渉します。オフィスや店舗等へ入居する際の賃貸契約書や、物流の3PLなどの業務委託契約書に記載されている「原状回復工事」に関する条件です。一般的には原状回復工事の費用とは、契約の解約を申し入れ、施設から退去する前に借りる前の状態に戻すための工事費用を実費精算した金額です。
実際に原状回復費用の請求額を精査すると、市況相場よりも1割~5割程度は割高な見積もりで請求されていることが多く、本来であれば不動産/施設オーナー側が責任を持つべき工事箇所や追加の更新工事も合わせて含まれている場合が少なくありません。
オフィスの原状回復工事の場合、工事/建築に関して専門知識に乏しい総務部で対応することが多いため、割高な見積もり料金でも了承されやすいためです。また、不動産オーナーや管理会社にとっては取引関係が切れるタイミングであるため、理不尽に割高な見積もりを送りつけてくることもあります。
原状回復工事費用を適正な水準で管理するポイントは、解約通知後や退去直前に慌てて対処するのではなく、むしろ契約締結前(入居する前)に他社の物件や賃貸条件と競争させて好条件を引き出します。
コスト削減については、すでに多くのノウハウが世に共有されています。しかしながら、コスト削減に取り組む企業が増えるにつれ、そのレベルの差もまた広がっています。「間接材コストマネジメント」のフレームワークを体系的に理解し、実践することで、コスト見直しのレベルを上げることができるのです。
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