「内臓型冷え症」対策に超オススメ、薬効肉野菜鍋 「今の寒い時期にピッタリ」漢方薬剤師が紹介

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鍋に水と羊肉、当帰(またはセロリ)、しょうがを入れ、弱火でゆっくり40分以上、水の量が半分になるぐらいまで煮詰めます。弱火で加熱すればそれほどアクが出ませんが、気になる場合は最後にアクを取ります。このスープをベースに鍋にします。

続いて、野菜や調味料をスープに入れ、弱火で煮ます。おすすめの野菜は後ほど薬効ごとに紹介していますので、上手に取り入れていただけたらと思います。温かさを体内で持続させるために、スープにとろみをつけるのも良い方法です。おすすめはくず粉ですが、なければ片栗粉でもいいでしょう。

このスープにたまねぎやじゃがいも、にんじんなどを入れた後、みそを溶き、みそ汁にしても美味しく食べられます。

薬効別おすすめ野菜を紹介

続いて症状別、おすすめの具材を紹介します。

①むくみ

冬は肌や髪が乾燥しやすいですが、冷えにより気・血・水の巡りが悪くなり、むくみを訴える人も多い季節です。鍋の具材には体内の余分な水を排出する「利水(りすい)」作用のあるものを入れると良いでしょう。

緑豆春雨:春雨にはじゃがいも、緑豆、さつまいもなどを原料にしたものがあります。その中でも緑豆は利水、解毒の薬効が強い食材です。表示を見て、緑豆が原料のものを選んでください。

もやし:緑豆を発芽させたのがもやしです。もやしにも多くの薬効があります。価格も安く、鍋には必須の食材です。血流が滞った状態、瘀血(おけつ)を改善する働きもあります。低カロリーでカリウム、カルシウム、ビタミン、食物繊維などをバランスよく含んでいます。

②貧血

寒さの厳しい季節は貧血でなくても血流が悪くなり、クラッとしたり、目の前に星が飛ぶような貧血のような症状が出やすくなります。きちんと機能する血が不足する「血虚(けっきょ)」の状態には「補血(ほけつ)」作用の強い食材を組み合わせます。

ビーツ:「食べる輸血」といわれるほど、血を補い血流を良くする作用が強い食材です。ビーツはほうれん草の仲間です。ロシア料理の「ボルシチ」の色はビーツの色ですので、鍋に入れればきれいなピンク色になります。鉄をはじめとして多くのビタミン、ミネラル、食物繊維も豊富です。

ほうれん草:補血作用の強い野菜の代表です。冷えや血流を改善する葉酸や鉄分のほか、利尿作用があるカリウム、食物繊維などが豊富に含まれています。血流を改善してくれるので、むくみの改善も期待できます。

③胃もたれ

寒くなると冷えにより血流が悪くなり、胃の働きが悪くなり胃もたれを起こすことがあります。食べすぎていなくても消化不良の状態で食べたものが滞ると、さまざまな不調の原因になります。

キャベツ:羊とも相性が良く、胃の働きを助けてくれます。未消化物である「痰飲(たんいん)」を排出して、消化器の状態を健やかにします。豊富な食物繊維のほか、ビタミン、カリウムなど、多くの栄養素が含まれます。

大根:生の大根は胃にこもった熱を冷まして消化を助けます。寒くて胃の働きが悪くなると消化不良で便秘をしたり、結果的に太ってしまうことがあります。そのような場合、消化剤として大根おろしを食べることをおすすめしています。生の大根からはアミラーゼ・プロテアーゼ・リパーゼなどさまざまな消化酵素が摂取できます。大根おろしにして鍋の具と共に食べると消化が促されます。こうした薬効を期待する場合は、鍋に入れるのではなく、つけだれにするといいと思います。

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