「内臓型冷え症」対策に超オススメ、薬効肉野菜鍋 「今の寒い時期にピッタリ」漢方薬剤師が紹介

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実際、高麗人参には滋養強壮、疲労回復、虚弱体質の改善、強心作用など多くの効能があります。一方で副作用として不眠、動悸、頭痛、眩暈(めまい)、発疹、血圧異常などが報告されています。とくに高血圧の人は注意したほうがよく、妊娠中や授乳中の母親、あるいは幼いお子さんも、食べるときは専門家に相談してからにするべきでしょう。

なお、今回紹介する体を温めるメニューも、普段からのぼせやすかったり熱がこもりやすかったりする人には合わない可能性がありますので、ご注意ください。

まず料理の種類ですが、温かさがずっと持続するメニューの代表は、やはり鍋でしょう。体を温める鍋といえば、火鍋など、にんにくやとうがらしがどっさり入った真っ赤な色のスープを思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし、辛味が強いものは瞬間的に温める作用は強いのですが、汗をかいて結果的に冷えてしまったり、毛穴から汗とともに気が漏れて体力が消耗してしまったりすることもあります。

かつて韓国料理の先生をお招きして料理を教えてもらったことがあります。その仲間に、「毎回、料理教室の翌日に風邪をひく」という人がいました。にんにくやとうがらしを使った料理で、汗と共に気が消耗されていたのではないかと思います。

じんわり体が温まる鍋レシピ

そこで、今回はじわじわと温まり、その温かさが持続するような鍋のレシピを紹介いたします。

まずメインになる具材として冬におすすめなのは、羊肉です。日本では牛肉、鶏肉、豚肉などの肉と比べて食卓に上がることは少ないですが、高タンパク、低カロリーで、鉄を多く含むという特徴があります。

漢方の基礎になる五行説では、木火土金水のうちの「火」に対応します 。漢方薬の1つに、体を温める作用が強く、栄養価が高い羊肉が入った「当帰生姜羊肉湯(とうきしょうきょうようにくとう)」という処方があります。婦人科系の疾患に使う漢方薬に多く使われている生薬「当帰(とうき)」や、胃腸を温めて働きを良くする「生姜(しょうきょう)」が入っています。

この処方は漢代の医学書『金匱要略(きんきようりゃく)』に記載があり、女性が出産後、冷えにより腹痛を起こしたときなどに用いられてきました。漢方薬は多くは乾燥させた植物を原料にしますが、このように生肉を使う処方もあるのです。ちなみに生姜は漢方薬として使うものは食用と同じですが、「しょうが」ではなく「しょうきょう」と読みます。

当帰は西洋ハーブではアンジェリカと呼ばれている植物の仲間です。日本では食品としてはほとんど流通していませんが、たまに韓国食材を売っているお店で販売しているのを見かけたりします。見つけたときに手に入れておくといいでしょう。当帰が手に入らない場合は同じセリ科の食材のセロリで代用してもOKです。特有の香りが羊の臭みを消してくれます。

薬効肉野菜鍋(1人前の材料)

羊肉(ラムまたはマトン):150g
当帰:5g(またはセロリ:半分〜1本)
しょうが:親指大 
白ワイン(または酒):50cc
塩・こしょう:適量
水:1.5リットル程度
野菜(薬効ごとに後で紹介します)

作り方ですが、まずはスープを作ります。

次ページまずはスープの作り方を紹介
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