上手くいかない日々が続く人の「考え方のクセ」 茂木さんの思考実験でチェックしてみよう

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それでは今後、人生がどうなるか? あらためて選択肢を見てください。

①「ますます悪くなっていく」
昨日悪いことがあったから明日も悪いことがある。この答えは事実ではなく、まさに認知の歪み、それもネガティブな歪みです。ネガティブな想像は心身の健康にもよくないですから、これを選んだ方は半分正解ということにしましょう。

②「明日は明日の風が吹く。よくなると信じて前向きにいく」
これはもう、何も考えていないに等しいですね。思考していない。思考停止しています。厳しいですが、これは不正解! 知性ある大人としていちばんよくない態度です。

したがって、正解は③です。
③「悪くなる確率が少しだけ高いので、それを避けるためにやり方を変える」

論理的に、確率論的に考えて、昨日までの日のうち8日、8割の日に悪いことがあったとして、翌週の悪いことが起こる確率がいきなりゼロになることは考えづらいでしょう。

いままでのやり方を見直す

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もちろん、人生の変化は線形ではないので、現在の延長線にはありません。何かのきっかけでがらりと変わることはよくあります。

ただ、10日のうち8日で悪いことがあったのなら、いままでのやり方に失敗の原因がある可能性は大いにあります。

たとえば、あなたの物の言い方が他人を不快にしがちだとか、生来の空気の読めなさでやってはいけないタイミングでやってはいけないことをしてしまうとか。そうだとしたら悪いことが続く可能性は高いので、それを避けるためにやり方を変えて試行錯誤する。それが知性ある大人の考え方といえるでしょう。

茂木 健一郎 脳科学者

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もぎ けんいちろう / Kenichiro Mogi

1962年東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、同大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに、文藝評論、美術評論などにも取り組む。2006年1月~2010年3月、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」キャスター。『脳と仮想』(小林秀雄賞)、『今、ここからすべての場所へ』(桑原武夫学芸賞)、『脳とクオリア』など著書多数。

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