上手くいかない日々が続く人の「考え方のクセ」 茂木さんの思考実験でチェックしてみよう
現に、ニュートンの草稿を読んだケインズは「ニュートンは理性の時代(reason)の最初の人ではなく、最後の魔術師だ」と語ったといわれています。
僕たちの多くは、錬金術師としてのニュートンを知りません。万有引力の発見後、自然科学者としてまつりあげられたニュートンの隠秘学研究者としての一面は意図的に隠されてきたからです。
しかし、オカルト研究者としてのニュートンを知らずして、科学者ニュートンの全貌を知ることはできません。なぜなら、ニュートンにとって、いえ、当時のヨーロッパ人にとって、オカルトと科学は未分化なものでした。
ニュートンの時代、錬金術の実験の一部が禁止されていたのも、悪徳な医者が怪しい実験結果をもとにパトロンから金をだまし取るのを防ぐためでした。
また、ニュートンが生まれる前年に死んだ天文学者ガリレオ・ガリレイが、地動説を唱えて異端審問にかけられたエピソードも有名です。つまり、彼らが活躍した1600年代は、医学と魔術、科学はまだまだ微妙に重なり合っていたのです。
ニュートンが狭い意味での自然科学だけを学んでいて、はたして万有引力に気づけたでしょうか。
ニュートンは万有引力を発見する歳ごろまでに科学や錬金術のほかに、数学、哲学、古代史、ラテン語なども幅広く学んでいます。彼の学んださまざまな学問は、17世紀ヨーロッパ人に共通する思考のベース、認知の歪みの呪縛から解き放たれて自由になることに役立ったはずです。
認知の歪みから離れて論理的に思考する
では、僕もあなたも、自らの認知の歪みから離れたところで、もう一度、先の設問についてロジカルに考えてみましょう。
「最近いろいろなことがうまくいきません。これからあなたの人生はどうなっていくでしょうか?」
最近いろいろなことがうまくいかないのは、おそらく事実でしょう。これさえもあなたの認知の歪みがもたらすもので、世間一般にはうまくいかないとまでは言えない状態かもしれません。しかしそこまで言い出すとキリがないので、「あなたが(私が)そう感じた」ことは事実だとします。
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