Panasonicが録画用ブルーレイディスクやめる訳 需要減、代替サービス台頭に加えコスト高も重し

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環境要因①:売れなくなったハードのパッケージ・メディア

今から10年前の2013年に、日本記録メディア工業会が解散した。同工業会はブルーレイディスクやDVDの普及活動を行う団体だった。クラウド技術などの進化によって記録メディアの存在意義が相対的に低下したのが解散決断の要因だったようだ。これは印象的な出来事だった。

そこから10年後の2023年。パナソニックの録画用ブルーレイディスク生産完了も、ある種の象徴を感じさせる。普及活動が完了したのちに、生産すらも役割を終え、「完了」したのだ。

ここでMPA(Motion Picture Association)のデータを調べてみる。MPAはアメリカ映画協会の関係団体と思っていただければいい。彼らの調査によると、世界のコンテンツ産業におけるDVDやブルーレイディスクなどの実物メディアは2017年(149億ドル)から2021年(65億ドル)までに半減以下になっている。

なお、これはあくまでパッケージのメディアを対象とした数値であり、パナソニックが生産終了を発表した“録画用”ブルーレイディスクを直接的に示すものではない。ただ、これだけDVDやブルーレイディスクの形で販売されるコンテンツが減少していることから、録画用ブルーレイディスクも斜陽産業になってしまっているのは、間違いない。

動画もネット配信の時代に

環境要因②:急成長を遂げる代替サービス

私がテレビ出演の仕事をしていると、幸運なことに共演したアーティストの方からCDやDVDをいただく機会がある。またラジオ番組で音楽家の方をゲストに招く際、事前に音源を送付してもらう場合もある。しかし困ったことに自宅にCD/DVDプレイヤーがない。

そこで音源を聴くためにオフィスに出向く。私の場合、オーディオはあるが、時間の都合でパソコンとスマートフォンに取り込んで聴く。また、せっかく音源をもらったのに、結局はサブスクリプション音楽サービスで視聴することもある。CD/DVDメディアのプレイヤーを有しない家庭や個人も相当数に上るのではないか。

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