Panasonicが録画用ブルーレイディスクやめる訳 需要減、代替サービス台頭に加えコスト高も重し

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環境要因④:原材料費の上昇

DVDやブルーレイディスクのような光ディスクの主な材料の1つがポリカーボネート。「耐熱・耐候性に優れ、ガラスに匹敵する透明性に加えて、優れた耐衝撃性も有する」(日本プラスチック板協会ホームページ)樹脂である。

昨今の原材料高の流れを受けて、このポリカーボネートの価格も例に漏れず高騰している。価格変動を見てみたい。日本の貿易統計からポリカーボネートの価格上昇を調べてみた。

もっともブルーレイディスクの製造は日本だけで行われていない点は付記しておきたい。日本の場合は2022年に円安にも襲われた。ただ大きな傾向は把握できるだろう。

原材料費がここ2年で1.7倍以上に

そのうえで2020年1月~3月期の水準を100として四半期ごとにポリカーボネートの価格を見てみると次のようになる。

2020年1~3月:100
2020年4~6月:102
2020年7~9月:104
2020年10~12月:99
2021年1~3月:107
2021年4~6月:131
2021年7~9月:143
2021年10~12月:159
2022年1~3月:150
2022年4~6月:166
2022年7~9月:176

このように生産コストのうち材料費が高騰し各社を圧迫したと考えられる。

上記、四重苦とも思える状況と、それらが複数に組み合わされた象徴的な出来事が、パナソニックの録画用ブルーレイディスク生産完了、つまり事実上の撤退といえるだろう。これも時代の流れというべきか。とはいえ、衰退・縮小する商品・サービスにいつまでもこだわっていられない。パナソニックには新たな商品での成功を期待したい。

坂口 孝則 未来調達研究所

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さかぐち・たかのり / Takanori Sakaguchi

大阪大学経済学部卒。電機メーカーや自動車メーカーで調達・購買業務に従事。調達・購買業務コンサルタント、研修講師、講演家。製品原価・コスト分野の分析が専門。代表的な著作に「調達・購買の教科書」「調達力・購買力の基礎を身につける本」(日刊工業新聞社)、「営業と詐欺のあいだ」(幻冬舎)等がある。最新著は「買い負ける日本」(幻冬舎)。

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