「伊豆の3km」ほか2023年の高速の新開通まとめ 下北・伊豆と半島の道路に注目も新東名は…

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つまり、今年の3月末までには開業する予定だ。このうち、現時点では開業日が決まっているのは甘楽SICで、2023年3月25日となっている。

こんにゃくの製造工場見学や手作り体験などができるこんにゃくのテーマパーク「こんにゃくパーク」や、江戸時代の武家屋敷、大名庭園である国指定名勝「楽山園」などがある城下町小幡といった観光資源もあり、観光にも力を入れている甘楽町にとっては町内初めてのICとなり、期待は高い。

城下町小幡、雄川堰沿い(写真:iroshi / PIXTA)

長野県中央部を縦断する長野自動車道(長野道)の「筑北(ちくほく)SIC」は、2022年度中の供用を目指していたが、昨年12月に工事期間が「最長2023年12月」までと修正発表された。なんとか、2023年中に間に合うといったところだろう。

“間に合いそう”なのが長野道なら、“間に合わない”ことが決定したのは、新東名高速道路(新東名)だ。新東名は、2023年度に神奈川県海老名市から愛知県豊田市までの全線開業が期待されていたが、現在工事中の「新秦野IC」~「新御殿場IC」の進捗が思わしくなく、昨年、全通が2027年度にずれ込むという発表があった。

この区間が開通しても現在の東名の慢性的な渋滞が解消されるわけではなさそうだが、「大井松田IC」~「御殿場IC」間の山岳地帯はカーブも多く、勾配も厳しいことから、ゆったりした規格で作られる新東名の開通が待たれるところだ。とはいえ、実際に開通のメドが立つまで、もう少し時間がかかりそうである。

新路線・新区間開通によせる思い

高速道路の延伸やSICの開業が行われれば、地元の人の利便性だけでなく、人流や物流が変わり、新たな観光資源が生まれることもある。昨年、取材した「花園IC拠点整備プロジェクト」もその一例だ。

鉄道ファンが3月のダイヤ改正を楽しみにするのと同じように、高速道路好きの筆者は年が改まると、「今年はどの高速道路が延伸されるのだろうか」と気になってしまう。

それは単に“旅の幅が広がるから”だけではなく、上記のような住民の利便性の向上や新たな観光の創出などが期待できるからだ。次回は、西日本の新開通路線や区間を紹介したい。

佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、NPO産業観光学習館専務理事、京都光華女子大学キャリア形成学部教授、リベラルアーツ・ジャーナリスト。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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