結果を求める人たちは、とくに反射的に忙しくあろうとする。あるハイテク業界の管理職向けのセミナーでこんな一幕があった。
その企業は、大変な額の費用を投じて世界中から管理職をリーダーシップ開発プログラムに参加させていた。企業はこのプログラムを通じて、管理職がお互いを知り、お互いに学び、組織にグローバルネットワークを構築してくれることを望んでいた。
最初のセッションを終えて30分ほど休憩を入れたときのこと。参加した管理職70人はその間、会話をほとんど交わさなかった。代わりにスマホを取り出し、メッセージをチェック、忙しく返信しているようだった。結局、休憩中に誰とも目を合わせることはなかった。
リーダーシップ開発プログラムが開催されていた数日間、参加した管理職は時間があればスクリーンを食い入るように見つめて会議室を歩き回っていた。
忙しく見せることに「目的」を見いだす人たち
あなたはどうだろう? ほかの人が職場であなたを見たところを想像してほしい。険しい顔をして、切迫した感じが節々に出ていないだろうか? いつもスマホをチェックしていないだろうか?
心の奥で、これくらい忙しく仕事をこなしていれば、不安にならずにすむと思っていないだろうか? もし心あたりがあるなら、あなたは実直に仕事に励んでいるつもりでも、忙しさの罠にかかっている。忙しいことが目的になり、自己成長がはかれなくなっている可能性があるのだ。
とはいえ、私たちは忙しくありたいと思う生き物だ。この性質からはなかなか逃れられない。だからこそ、ぜひ次の方法を試してみてほしい。
・1日1時間、「デジタルデバイス」を使わないようにする
・部下や同僚があなたに近づいて「仕事以外のこと」を話せる時間を設ける
つまり、1日の中に「余裕」をあえてつくり、可処分時間を増やしてみるのだ。
研究により、「忙しければ勝てる」は幻想に過ぎないことが判明している。忙しい人ほど、生産量が上がるわけではないし、人は自分を装うために「忙しいこと=善」とみなす傾向がある。忙しい人の回りは覚めていくこともわかっている。忙しさで自分をまとっていると、いつしか裸の王様になりかねないことは頭にいれておくといいだろう。
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