原発事故、供給力欠落で満身創痍の東京電力。危機脱出できても待ち受ける幾多の難題【震災関連速報】
国内の原発史上、最大の事故となった東京電力の福島第一、第二原発。原子炉の炉心溶融の危機も払拭されていない現状では、原発被害を最大限抑制することが、目下の最優先課題となっている。だが、仮に危機を脱出することができたとしても、その後の会社の舵取りにはいくつもの難題が待ち受けている。
最大の問題は、原発事故による設備損傷と信頼失墜だ。福島第一原発1~6号(総出力469万キロワット)については、炉心や使用済み核燃料を冷やすために海水やホウ酸が投入されており、相当部分が廃棄処分となる可能性が高い。また、第二の1~4号(同440万キロワット)についても、地震や津波被害を受けていること、地元住民の信頼を失ってしまったことなどから、復旧は容易でないだろう。
2007年の中越沖地震の際は、柏崎刈羽原発1~7号(同880万キロワット)が全機停止し、災害特別損失として08年3月期、09年3月期の2期で計2500億円を特損に計上。また、割高な石油、LNGなどの代替燃料費や購入電力料の負担もあり、2期連続の巨額最終赤字に陥った。今回の損失規模はそれをさらに上回ることは間違いない。
また、「計画停電」の実施が物語るように、供給力不足も深刻だ。現在、東電の全17基の原発のうち、正常に稼働しているのは昨年から段階的に復旧した柏崎刈羽1、5、6、7号機(計490万キロワット)のみ。加えて、火力発電所や送電線設備の被害も大きく、需給が極端に逼迫している。
3月18日時点の需給想定4000万キロワットに対し供給力3400万キロワットと、通常の電気の使い方では供給が不足している状況だ。震災で停止した千葉、茨城などの火力設備の復旧や、定期点検中の設備の稼働を早めるなどで4月末までにはいったん需給バランスはとれる見通しだが、電力需要がピークを迎える夏場7~8月には再び計画停電の実施に踏み切る可能性が高い。