賃金が高くなれば雇用者は減る?
賃金と雇用の関係は、経済分析の歴史において最もよく議論されてきた問題である。そのため様々なことがらについて議論があるが、ここでは、「雇用を創出するには賃金を下げる必要があり、そのためには最低賃金を定めたり、労働組合が力を持って労使関係に介入してくることを避けたりしなくてはならない」というウソを取り上げる。
この説を広めたジョン・ベイツ・クラークは、最低賃金の効果について最初に言及した経済学者の1人であり、こう言っている。
「詳しく調査するまでもなく、賃金が高くなれば雇用する労働者の数が減ることは確かだ」。
もう1人、イギリスの経済学者アーサー・セシル・ピグーもまた、1914年の著作『失業問題(Unemployment)』において同じように断言している。
「労働組合が賃金を同産業の賃金よりも高くしようとするあらゆる試みは、失業の原因となる」
2人の言葉は、一見理にかなっているようで異論をはさむ余地もなさそうだ。労働も1つの商品であって、他の商品同様、その価格、つまりここでは賃金が高くなればなるほど企業による需要が少なくなるという考え方だ。
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