世界で最も重要といわれる民間シンクタンク、マッキンゼー・グローバル・インスティテュートは、2018年に発表した報告書でそれを指摘した。6カ国(ドイツ、スペイン、アメリカ、フランス、イギリス、スウェーデン)の7つの主要経済部門で過去30年に何が起こったかを調査した結果、生産性を決定するのはコストをはじめとする供給のさまざまな要素ではなく、財とサービスの需要だとわかった。
全体の賃金を下げれば悪循環に
賃金が上がれば、財とサービスの需要は高まる。そうなったときにはじめて企業は、技術革新に投資するインセンティブを持てるのだ。
この結論は、労働組合が経済活動に与える影響についてすでに他の多くの研究論文が明らかにしてきたことを裏付けている。それは、組合員の数が増え、組合自体が力を持つ時期は賃金が総じて上がり、さらに生産性、雇用、生産への投資、そして経済活動全体のレベルも高くなる。反対に、労働組合の力が弱く、賃金が低い時期には、これらすべてのレベルが低くなるということだ。
確かに、賃金が下がることで生産コストが下がり、利益が増える企業もあるだろう。それによって雇用が増えることもあるかもしれない。
しかし一部の人たちにとって有益なことが、すべての人たちにとって最善とは限らないという点に気をつけなければならない。
全体の賃金を下げるという戦略は、売り上げを低下させ、それによって雇用を生み出していた企業の収入を減らす。すると技術革新への投資に対する関心も低くなり、行きつくところは経済全体の悪化ということになるのだ。
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