需要と供給の法則を信じる人を裏切る「真の法則」 「需要と供給によって価格が決まる」というウソ

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需要と供給
法則と言いつつ矛盾がある(写真:タカス/PIXTA)
「Econofakes エコノフェイクス」とはスペイン・セビリア大学応用経済学教授であるフアン・トーレス・ロペスがつくりだした「経済のウソ」という意味の造語だ。
「経済学は、難解で抽象的な数式で提示されると、科学的で議論の余地のない真実のように見える。しかし、経済学には『科学』で存在するような普遍的な『法則』が必ずしも存在していない。実際は仲間内で権威を与え合う経済学者たちのゆがんだイデオロギーによって導き出された『ウソ』に満ちあふれている。そして、この『ウソ』によって権力や富が一部に集中するシステムが正当化されているのにも関わらず、多くの人はそのことに気づいていないのだ」とトーレス教授は言う。 
それでは、その「ウソ」とはいったいどんなものなのか? そして「ホント」とは? トーレス教授の著書『Econofakes エコノフェイクス――トーレス教授の経済教室』より一部抜粋、再構成して経済の素人でもわかるように5回にわたって解明していく。

価格を決める法則とはいったい何?

★ウソ 財とサービスの価格は「需要と供給の法則」によって決まる

「供給の法則」や「需要の法則」という言葉を経済学者たちが頻繁に口にするため、政治家やジャーナリスト、ひいては一般の人々までもがこの表現を使うようになった。いまや誰もが、これらの「法則」が市場を効果的に機能させ、私たちが日常的に購入する商品やサービスの価格を自動的に決定していると信じている。

従来の経済学の教科書に書かれたこれらの「法則」の定義について、Wikipediaに以下のような要約が記載されている。 

「供給の法則」とは、供給曲線で示されるように供給量は価格に比例し、財の価格が上がるほど市場に出まわる量が増えるというものである。それとは逆に、「需要の法則」とは、需要曲線で示されるように需要が価格に反比例して、財の価格が上がるほど買い手の需要が減少する。したがって、財の価格は「需要と供給の法則」によって変動する。

他の事典やさまざまな本でも、ほぼ同様の説明が見られる。

しかし、この考え方はウソだ。

需要曲線と供給曲線
(出所)『Econofakes エコノフェイクス――トーレス教授の経済教室』(サンマーク出版)

(外部配信先では需給曲線などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

財やサービスの価格が、供給と需要によって定められるというのはウソである。なぜなら、第1に、どんな場合にもウィキペディアに書かれているような法則が存在するとはいえないからだ。

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