文字を読むことをやめてみる
しばらくネットを見る頻度を減らしてみた。
ネット空間には雑多な文があふれており、雑多であるがゆえに好きだったのだが、物置居住後はネットにあふれる大量の言葉に疲れていた。単純にネットを見る時間が増大したからかもしれない。スマホの普及によって書き込む人間の数が大幅に増えて、いよいよネットに断片的な言葉が増えてきたこともあるかもしれない。
ネットは書き込まれたものがそのまま載るし、よほどのことがないと削除もされない。ジャンクな言葉がたくさんある。さわると糸を引きそうな文章にふれてうんざりする。怨念がビュッと顔にかかるのも嫌だ。
アマゾンのレビューを見ていて、不意打ちのように生々しい憎悪に出くわして驚くこともある。それは、「私はこの作者に親友を殺されたので評価が厳しくなりましたが」と最後に書かれていないと納得がいかないほどの強い憎悪で、無関係な自分がしばらく落ち込む。
今の生活で危険だと気づいたのは、ネット以外の人間関係が極端に薄まった結果、こうした悪意への抵抗力が弱まり、ネットの言葉とうまく距離を取れなくなってきたことだ。ネットの悪意に飲み込まれる。どこかで読んで嫌だなと感じた言葉が、ふとしたときに自分の口から出てきていると気づくと焦る。
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