試乗場所は静岡県御殿場市。混雑する市街地から箱根方面へと向かう山道まで走らせたが、道路条件を選ばず痛快で楽しく、しかも扱い切れるパワーだから手の内感にあふれていた。また、乗り心地も硬すぎないから街中ではゆったりとした走りが堪能でき、山道ではステアリング操作に一定の間合いをとってから、ボディがひとつの塊となって右に左にヒラリと動く。まさしく身体が軽くなったような感覚だ。
「一定の間合いは応答遅れ」と思われがちだがそうではない。たとえば走行中、ボディが凹みを通過したとする。その直後の動きを大げさに表現すると、まずタイヤとサスペンション(足回り)でグッとその動きを抑えつつ、抑えきれない動きがボディ(上屋)に伝わって、結果ブヨンとボディ全体が動く。
RSでは、その足回りと上屋の両方の動きが小さくなる専用の挙動設計を行ったのだ。実際に旋回特性グラフで確認すると、標準グレードとRSでは、ステアリング操舵量に対する旋回力(≒曲がる力)は20km/hあたりの低い車速から高速域までRSが高い。
過敏じゃないから疲れない
また、カーブ走行時に横Gが高まっていく(カーブで身体が外側にもっていかれる)シーンでも、ボディのロール角(ボディ横方向の傾き)は横Gが強くなるほど抑えられている。これにはステアリングの操舵量に応じて切れ角を変化させるVGR(可変ステアリングギアレシオ)の効果も大きい。
運転操作に対して、ごくわずかな間をおいてからボディがスッと動くので、ドライバーは「気持ちが良くて、爽快だね」といった印象を抱きやすい。過敏じゃないから疲れない。こうした身体に寄り添う走行性能こそRSが目指した“堂々とゆったり遠くへ”のコンセプトそのもので、サーキットでタイムを競うタイプRとは異なるキャラクターを象徴している。
e:HEVシステムにもRSならでの専用制御が加わる。そのひとつがノーマル、スポーツ、ECONの3モードを備える「ドライブモードスイッチ」だ。マイナーチェンジ前のe:HEVに対して、アクセル操作に対する反応時間の短縮と駆動力を向上させた「ノーマルモード」と、ノーマルモードの伸び代をさらに伸ばし、一体感を高めたボディの動きに走行用モーターの特性を合わせ込んだ「スポーツモード」を設けた。
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