時代は変わった「同じ仕事やり続ける」甚大リスク 「キャリア論の第一人者」が解説!あなたはOK?

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そして、自分のキャリアや人生の「背骨」となるテーマは、次の「2つの専門性」を兼ね備えるべきです。

①理論的・体系的な専門性
専門的教育や自身の勉強などで身につけた専門性。たとえば人事管理なら、関連する行動科学や認知心理学の基礎などを広く理解しておく。
②「最新の動向」に接する先端的な専門性
その分野における先端事例、最新の動向にアンテナを張って勉強し、先端を行く人たちとの交流の場に出かけて人脈を広げる。

裏返すと、同じ仕事をコツコツ続けて得られる「経験による実務専門性」だけでは、変化に脆弱ということです。

上記の「2つの専門性」は、仕事をただ長く続けていても身につくものではありません

現在の仕事と直接関係があるかないかにかかわらず、これを継続的に身につけることです。いったん自分の「背骨」にしようと思った専門性については、異動しても引き続き学び続けるのです。

それが、まさにあなたのキャリアの「背骨」となり、あなたを支えてくれる「専門性」になります。

自分の「背骨」について周囲にも伝えておけば、いつかそれを直接生かすチャンスがやってくる確率も上がるでしょう。また、「背骨」をベースに転職することも可能になります。

キャリアは「異質な経験や学び」をつなげていくもの

ここまで説明してきたように、いまのような「変化の激しい時代」に必要なキャリアは、「同じ仕事をコツコツ続ければいい」というように「一貫性」を持って積み上げるものではなく、「異質な経験や学び」をつなげていくものです。

たとえば、「専門性」を深める過程で、「異質だがこんな学びもしておかないと、自分が仕事で出せる価値は知れている」と気づき、「異質だが関連性のある仕事経験」にキャリアを振って、それを「背骨」につなげていくことができれば、それが「オンリーワンキャリア」への道になります。

そのためにも、いかなる変化にも対応できるよう、まずは「自分の『背骨』となる『専門性』についての学び」をしっかり続けることが大切です。それこそが、先の見えない時代の10年後、20年後に生きてきます

現代は、臨機応変に適切に対応できる「応用力」が必要な時代でもあります。

ぜひ、必要な知識やスキルを自ら学ぶ「独学力」を高め、それによって自分の「背骨」を強固なものにすることで、自分ならではの「オンリーワンキャリア」への道を目指してほしいと願っています。

高橋 俊介 慶應義塾大学 SFC研究所上席所員、キャリア論の第一人者

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たかはし しゅんすけ / Shunsuke Takahashi

1954年東京都生まれ。東京大学工学部航空工学科を卒業後、日本国有鉄道に入社。プリンストン大学工学部修士課程を修了し、マッキンゼー・アンド・カンパニ-東京事務所に入社。1993年に世界有数の人事組織コンサルティング会社である米国ワイアットカンパニーの日本法人ワイアット株式会社(現ウイリス・タワーズワトソン)の代表取締役社長に就任。社長退任後は、個人事務所ピープルファクターコンサルティングを通じ、コンサルティング活動や講演活動、人材育成支援等を行う。2022年4月より慶應義塾大学 SFC研究所上席所員。キャリア形成、人材マネジメント、リーダーシップ、働き方改革などに確かな知見を有し、本質を見抜く目に定評がある。

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