「みんなと同じぐらいの良い学校を出て、いい勤め先に就職し、稼ぎのいい旦那さんと共稼ぎで子どもを2人育てる。こんな生活を子どもの頃から思い描いていました。でも、描けば描くほど遠のいてしまって……。だけど、『こんなはずじゃなかった』と嘆く時期はもう過ぎました。
この歳で婚活をして、アホなほどポジティブな農家の彼と結婚するなんて面白いなと今では思っています。そろそろ50歳なので、見栄とか世間体にこだわって暗くなっている暇はありません。選択に迷ったら面白いほうを選ぼうと思っています。私はそのほうが楽しく平和に暮らせる気がするからです」
率直に語り、力強く宣言してくれるのは食品メーカーに勤務している木村美香さん(仮名、47歳)。
「ガッツリ婚活」の末に成婚
昨年の夏に入会した結婚相談所で今年の年明けからエンジンをかけて「ガッツリ婚活」をし、8月に同い年の純二さん(仮名)との成婚退会を果たした。勤務先をこの年末で退職し、関東地方の田園地帯にある純二さん宅に引っ越して一緒に農業をする予定だ。
都心にある私立大学を卒業してからの美香さんの社会人生活は基本的に「ダーク」なものだったという。会社勤めは倒産や拠点移転を含めたさまざまな理由で長続きせず、6年ほど交際した恋人とは結婚したいタイミングのすれ違いで別れた。弟は仕事中の事故で死去し、母親は精神的な疾患で入退院を繰り返し、それを支えていた父親も自分自身もがんを患った。
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