「めんどくさい沼」から抜けられない2つの理由 知らないうちに行動が「習慣化」されている

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これは一見、道徳的な教育のおかげで、自分を律して反省することが身についているかのようです。しかし、ここに「めんどくさい」をクリアできないポイントがあります。

それは、脳は、罰を恐れる設定をすると、体が動かなくなる仕組みを持つということです。この場合、「誰かに怒られるのではないか」ということが、行動の動機になっているので、いくら気持ちを奮い立たせようとしても体は動きません。

② めんどくさいと感じたときに、とる行動が決まっている

もう1つのつまずきやすいポイントは、普段テキパキ行動できている人でもよく起こることです。

・帰宅してバッグを置いてソファに座る
・返信が必要なメールがたくさんあるのに、新しいタブを開いてニュースや動画を見る
・ほこりがたまった物を見て「うわー真っ白」と言う

どれも日常よくある風景だと思いますが、この中に、めんどくささを増強してしまうポイントが隠れています。

それは、いつも同じような場面で同じ行動をとっているということです。

「メールを返信する気になれないから、気分転換に動画を見た」というように、無意識のうちにそのパターンができあがってしまったこともあると思います。

またはテレビCMで、通勤で疲れてとにかく休みたいと思っているビジネスパーソンが、玄関を上がってバッグを放り投げてベッドに倒れ込む場面を見たことをきっかけに、帰宅したらどかっと座る行動をとるようになった、ということもあるかもしれません。

いったん行動が決まってしまうと変えるのは難しい

知らないうちに習慣化された行動は、大脳基底核の強化学習という仕組みによってつくられています。メディアや他者から刷り込まれた行動は、他人のしぐさや言動が自分の脳内でも再現されるミラーニューロンという神経群によってつくられています。

いったん、行動が決まってしまうと、その行動を変える命令を出すのは難しくなります。脳に命令を伝えるルートである神経線維は、そのルートが使われるほど太くなり、さらに周辺のルートを通っている命令を奪いとって、自分のルートに乗せていくように働くからです。

脳は、出された命令に対して「それはよい命令」「それは悪い命令」と判断してくれることはありません。通じてしまえばそれを実行する。これが脳の仕組みです。ですから、望ましくない命令でも、通じやすければすぐに実行されてしまいます。

めんどくさいことを解消する新しい習慣をどれだけたくさん覚えても、脳の中でつくられた太い神経のパイプに吸収されていってしまうのです。

おさらいすると、

① 誰かに怒られないかを気にする
② めんどくさいと感じたときに、とる行動が決まっている

この2つによって、めんどくささを消せなくなります。

とくに2つ目のポイントは、神経のルートのつなぎかえという戦略を持たないと、新しい習慣を試していても、「めんどくさい」が解消されるどころか、ただ疲弊してしまうやっかいなものです。

行動を変えるというのは、脳を自分と切り離して考えることから始まるものですが、私たちはこの「脳を自分と切り離して扱う」という発想について習うことがありません。

でも、ご安心ください。この発想は、拙著を読み進めていただければ自然に身についていきます。まずは、これら2つのつまずきポイントを解消する手段をお伝えします。

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