美しい天守閣を持つ日本の城には、多くの工夫が凝らされている。特に、植物の使い方は絶妙である。
その代表が、多くの城に植えられている松だ。凛と立つ天守閣に、豪快な枝ぶりの松の木は実によく似合う。
松は常緑樹で、冬でも青々と葉を茂らせている。その強靭な生命力が縁起がいいとされ、好んで城に植えられた。「松竹梅」「松に鶴」と言われるように、最高の縁起物として尊ばれてきたのだ。
また、松は常緑樹といっても、葉がまったく落ちないわけではない。いっぺんに落ちないだけで、少しずつ順繰りに葉を落としているのである。落ちた葉を見てみると、2本ひと組となっている。これが「夫婦和合」のシンボルとされたのだ。
とにかく、めでたいことこの上ない松なのだが、松は実用的な植物としても大いに利用されたのである。
城では、敵が攻めてきたときには籠城戦となる。敵に補給路は絶たれてしまうから、城の中には、つねに食糧や飲料を備えておかなければならない。だから城主は城の中に井戸を掘り、十分な食糧を蓄えた。



















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