W杯ベスト8が決定!進出国が抱える"お国事情" ブラジル、モロッコ、クロアチア等の政治問題
日本代表が優勝候補のドイツやスペインを1次リーグで破り、全国を興奮の渦に巻き込んだサッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会。準々決勝進出をかけたクロアチアと死闘の末、日本はPK戦で惜しくも敗れたが、日本が大会を盛り上げたことは間違いない。
地球に暮らす80億人のうち実に50億人が視聴するともされるW杯カタール大会は、中継や報道を通じ、相互に出場国の実情を知る機会にもなった。
ベスト8に名を連ねた国々は今、それぞれ国内でどのような問題を抱えているのか。サッカーをきっかけに興味を持った人も多いだろう。各国の国情を紹介してみたい。
日本と戦ったクロアチア
まずは日本をPK戦で破ったクロアチア。東欧バルカン半島の付け根に位置し、イタリアからはアドリア海を挟んだ対岸にある観光立国だ。
「アドリア海の真珠」の異名を持つ美しい小国で、人口はわずか400万人余り。北海道の3分の2ほどの広さに当たる約5.7万平方キロの国土に、横浜市や静岡県より少し多いくらいの人々が暮らす。
人口の9割を南スラブ系のクロアチア人が占めるが、セルビア系住民もいる。1991年にクロアチアが旧ユーゴスラビアから独立すると、独立に反発するセルビア系住民と治安部隊の衝突が激化して約4年にわたって内戦状態が続いた。
独立後、独裁体制を敷いていたトゥジマン大統領が1999年に死去した後は、民主化と経済改革が進み、2013年7月には欧州連合(EU)に正式加盟が認められた。クロアチアはEU加盟国の中で最も新しい加盟国に当たる。
美しく長い海岸線や湖沼地帯、1000を超える小島など美しい自然に加え、中世ヨーロッパの建造物が多数残っており、観光産業が盛ん。新型コロナウイルスのパンデミック以前は日本からの観光客も多かった。一方で他に目立った産業がなく、対外貿易は大幅な輸入超過となっており、貿易赤字を観光業による外貨収入で穴埋めしているのが実情だ。
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