副鼻腔炎は鼻の奥にある副鼻腔という場所で病原菌が繁殖し、炎症が起きる病気だ。「蓄膿(ちくのう)症」と呼ばれていた時期もある。
患者数は100万~200万人
戦後から日本が豊かになるまでの時代によく見られた「青っぱなを、鼻からたらした子ども」の多くは副鼻腔炎だといわれている。このためいかにも“昭和の病気”のように思われがちだが、実は、令和のいまでも急性・慢性を合わせて、100万~200万人の患者がいるとされている。
副鼻腔炎はその多くが、鼻風邪をきっかけに発症する「急性副鼻腔炎」だ。短期間で急速に悪化することもある。寺田さんはこう話す。
「私たちの体にはさまざまな常在菌がすみついていて、鼻の奥にある副鼻腔にはとくにたくさんの菌が存在します。常在菌は普段は悪さをしませんが、何らかの理由で免疫力が下がると活発になり、病原菌となって病気を引き起こすことがある。急性副鼻腔炎はこうした病気の1つです」
急性副鼻腔炎の原因となる常在菌には、肺炎球菌をはじめとした、いくつかの細菌やウイルスが知られている。
副鼻腔で病原菌が繁殖しやすいのは、その構造にもよるところが大きい。
副鼻腔は鼻の奥にある、左右4方向に広がる空洞だ。鼻の両側にある「上顎洞(じょうがくどう)」、眉間の奥にある「篩骨洞(しこつどう)」、篩骨洞の奥にある「蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)」、そしてひたいの裏側にある「前頭洞」からなる。
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