JR大阪駅「性的広告」に見る日本で炎上が続く真因 女性含め「複数チェック」しても防げていない

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上記の2事例と比べても、JR大阪駅の広告は肌の露出度が高く、より「性的」な表現が強いとも言える。

昨年になるが、千葉県警が松戸市のご当地女性バーチャルユーチューバー(VTuber)・戸定梨香(とじょうりんか)とコラボして、交通安全啓発動画を制作・公開したが、露出度の高さを問題視した「全国フェミニスト議員連盟」から「女児を性的な対象として描いている」と抗議を受け、動画は削除されるに至っている。

女性は二次元の「性的表現」を不快に思うのか

『月曜日のたわわ』の論争が起きたときに、大学の私の授業でこの話題を取り上げ、受講者に対して、「この広告は問題だと思うか否か」を挙手してもらったところ、7~8割の学生が「問題はない」というほうに挙手をしていた。

当該授業は、女子学生が半数以上は受講していたが、女子学生も含めて、「問題ない」とする意見が優勢だった。

この結果は、著者にとっては意外ではあったが、改めて考えてみると、日常的にアニメや漫画で同様の表現を見慣れている学生にとっては、広告の「性的表現」もさほど問題視するほどのことではない――と考えたのかもしれない。

実際、このたびのJR大阪駅の広告に関して、担当広告代理店のJR西日本コミュニケーションズは、女性社員も含めて複数の担当者で検討し、何度かの修正を加えたことを表明している。

女性だからといって、必ずしも性的な表現を不快に思うとは限らないし、『鬼滅の刃』の吾峠呼世晴氏にせよ、『うる星やつら』の高橋留美子氏にせよ、そうした表現を行う漫画家自身が女性であることも少なくない。

ある表現を不快と思うか否かについては、個人によって大きく異なるし、文化や慣習、あるいは時代による違いも大きく、一律に判断することは困難だ。

だからこそ、上記のような複数のチェックプロセスを経ても、問題化してしまうことが十分ありうるというのが実態だろう。

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