JR大阪駅「性的広告」に見る日本で炎上が続く真因 女性含め「複数チェック」しても防げていない

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東京大学教授の瀬地山角氏は、炎上広告を下図のような4象限で整理しているが、右側の性役割に関する表現で炎上することは、以前と比べると大きく減っている。

【炎上広告の4象限】

『炎上CMでよみとくジェンダー論』(瀬地山角著、光文社新書)より著者作成

(外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

最近よく問題になるのは、左下の「外見・容姿」に関する、「男性」を訴求対象にしたものである。しかも、この象限で問題になるものの大半はキャラクターに関する表現であり、その多くは「二次元キャラクター」である。

「適正さ」の落としどころはどこに?

二次元キャラクター広告の性的表現が問題になる背景には、日本の漫画やアニメが「オタク文化」として成長しつつ、いまや世界的なコンテンツにまで発展しているということがある。

性的な表現も含めて、現在の漫画やアニメの表現形式は「日本の文化」ともいえるし、「表現の自由」として尊重するべき点もある。

一方で、グローバルの文脈、時代の流れの文脈に寄り添っていかなければならない段階にも来ており、「広告」という不特定多数の人の目に触れるメディアにおいて、先行して問題視されてきていると言ってよいだろう。

歌舞伎においても、庶民のアングラ文化から出発し、日本の伝統芸能として生き残るに至るまでには、多くの規制と洗練を経ている

性的表現に関しても、「表現の自由」は尊重しつつも、時代の流れに沿いながら、訴求する人たちへの十分な配慮を行いながら、適正な水準に落ち着かせることが重要だ。

特に、適正水準を測るうえで、広告は「炭鉱のカナリア」としての役割も担っているといえる。つまり、広告より到達範囲の狭い表現においても、それが適正かどうかを考えるうえでの指標となりうるのだ。そうした点でも今後ますます十分な検討と配慮が必要ではないだろうか。

西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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にしやま まもる / Mamoru Nishiyama

1971年、鳥取県生まれ。大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授に就任。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書に単著『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、共著『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社)などがある。

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