エンゼルス番記者が見た「大谷翔平」の凄みと今後 大谷のような二刀流選手の出現はあと100年必要

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ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手。WBCでの活躍にも期待が高まる(写真:時事)
2022年シーズンを、打者、投手としてフル稼働して好成績のうちに終えた大谷翔平選手。前人未踏の道を突き進む大谷選手を、『SHOーTIME 大谷翔平 メジャー120年の歴史を変えた男』の著者であるロサンゼルス・エンゼルス番記者のジェフ・フレッチャー氏はどう見ているのか。大谷選手の活躍の裏側と今後の展望について寄稿してもらった。

大谷は打者、投手としてそれぞれに超一流で、唯一無二の選手だ。大谷が道を切り拓いたことで、二刀流を希望する選手は現れるだろう。実際に、アメリカでも大学のレベルでは投打ともに優れている選手はいる。しかし、メジャーリーグで大谷のような高い次元で二刀流を実現する選手が出現する可能性はほとんどなく、あったとしても、あと100年は待たなければならないだろう。

ベーブ・ルースは早々に二刀流を断念

大谷を語る際には、ベーブ・ルースが引き合いに出されることが多い。約100年前に活躍したレジェンドだ。しかし、ルースは、プロ生活当初の数年こそ投手に専念していたが、そのあと2シーズンだけ投手と打者の両方を務めて以来、通算16シーズンは野球史上に残る最強打者として歴史を刻み、ほとんどマウンドに上がることはなかった。

ルースは、打撃に専念したいという思いだけでそう考えているわけではなかった。投手と打撃を兼任したときの身体的負担に、自分が耐えられるとは到底思えなかったのだ。

「オレには投手が定期的に登板して、そのうえで毎日ほかのポジションで出場するなんて芸当ができるとは思えない。しかも、それを1年通して何年も繰り返すなんて」とルースは語っている。

しかし、2021年シーズン、大谷は投手として23試合に登板、打者としても155試合に出場。2022年シーズンは、28試合に登板、打者として157試合に出場するタフネスぶりを発揮した。

大谷は2018年にメジャーリーグのエンゼルスに移籍後、2020年シーズンまでは故障を繰り返して満足にプレーできない期間があった。

日本ハムファイターズ時代に監督として大谷を見ていた栗山英樹は、「大谷は疲れや張りが出たときにも、自ら痛いと申し出る選手ではないので、エンゼルス側が日々状態を確認し、出場試合数やトレーニング量などを調整する責任がある」といったことを伝えていた。そのためエンゼルスは細心の注意を払って、大谷をどれだけ試合に出場させるか試行錯誤を続けていた。大谷に対して繊細で脆弱な工芸品のような扱いをしていたのだ。

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