意味がないのに横行「アイデア出し会議」のムダ 「忖度や同調圧力」という名のヤスリで削られる
イオンや西友、イトーヨーカドーのような大手スーパー以外に、地域ごとにいくつも小さなスーパーがあります。大手スーパーが進出しても、地元密着型のスーパーはしぶとく生き残っています。しかも、地域ごとにすみ分けもできていて、例えば大阪で有名なスーパー玉出は、ほぼ大阪でしか出店していません。
私はその場では上司に何も返せず、「すみません。今は答えられませんが、必ずお答えします」と伝えました。
その後、日本のスーパーについて調べましたが、「これ」といった答えは見つからないままでした。
ところがある日、『秘密のケンミンSHOW』というテレビ番組を観ていて、「これか!」とはたと気づきました。ケンミンSHOWではその地域にしか流通していない特産品をよく紹介しています。
日本は海にぐるっと囲まれていて海なし県は8県しかありません。日本海と太平洋で獲れる魚は違いますし、もっと狭い海域でしか獲れない魚もあります。海あり県では地元で獲れた新鮮な魚を食べるのが普通です。
最近は流通網が発達して、東京でも地方で朝獲れた魚が夕方には届くようになりました。
海外の場合、海に面していない地域が多く、アメリカでは一度も海を見たことない人が意外と多いという話もあります。そのため、生鮮食品は冷凍されて流通するのが一般的です。肉や野菜も冷凍食品として流通しているので、結果としてスーパーの寡占化につながっています。
結論にたどり着くまで5年もかかった
日本ではスーパーの売り上げの半分は生鮮食品です。わざわざ大手スーパーに行かなくても、近所のスーパーで安く新鮮な食材を手に入れられるので、リージョナルチェーン(地域限定のスーパー)はナショナルチェーン(全国展開のスーパー)より強いのです。
さらに、リージョナルチェーンは個性を出しやすいという強みがあります。
漁港から直送した魚がずらりと並んでいるスーパーもあれば、お店でつくっているお総菜が大人気のスーパーもある。どの地域でも画一的な品揃えしかできないナショナルチェーンでは太刀打ちできない個性があります。
それが400社ものスーパーが存在する理由だといえます。
この結論にたどり着くまで、5年もかかりました。こういう「とことん考え抜く」経験こそ、問題発見力を鍛えるのだと実感しています。もし最初に検索してすぐに答えを見つけていたら、考える習慣が身につかないままでした。
すぐに見つかる問題は、たいした問題ではありません。なかなか見つからない問題やなかなか答えが見つからない、いわばゲームの「ラスボス」問題こそ、世の中をよりよくする可能性に満ちています。
ラスボス問題に出合った時こそチャンスです。
たとえ何年かかってでも問題を見つけてその答えにたどり着けたら、イノベーションを起こせるでしょう。
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