意味がないのに横行「アイデア出し会議」のムダ 「忖度や同調圧力」という名のヤスリで削られる

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会議をすることで、問題を発見できるというわけではありません(写真:Lukas/PIXTA)
「問題解決の前に、課題を“発見する能力”が、いま求められている」。そう話すのは、元ネスレ日本社長の高岡浩三氏です。Uber、ダイソン、ライザップ、キットカット……革新的なヒットはいかにして生まれたのでしょうか。物事の本質にたどりつくための思考力、結果を出し続けるための仕事術とは? 同氏の新著『問題発見の教科書』を一部抜粋し再構成のうえ、「問題発見」とはいったい何か、どのように課題を見つけるのかを解説します。

「問題発見」に会議はいらない

私が親しくおつきあいしている早稲田大学大学院経営管理研究科教授の入山章栄氏によると、「ブレイン・ストーミング」(通称ブレスト)のアイデア出しは、じつは非効率だそうです。

ブレストはテーマを決めて、複数の人で次々にアイデアを出していく方法です。

ずいぶん前にブームになって、今でも実践している企業もあるようですが、ブレストではアイデアは生まれないし、それ以前に問題発見はできないと私は思います。

入山氏によると、アメリカの大学で行われた研究では、ブレストでアイデア出しをしたグループより、個人がバラバラにアイデアを出したほうが、アイデアの質も数も高かったのだとか。

その理由は2つあり、1つ目はグループでアイデア出しをすると、自分のアイデアを他の人がどう評価しているかが気になり、自由に意見を言えなくなること。2つ目は、集団で話すときは思考が止まりがちになることだそうです。

人目を気にしなさそうなアメリカでも、グループでは提案しづらくなるのは興味深い話です。

とくに日本の企業では上司の意見が絶対で、上司の顔色を窺いながら部下は発言しているので、会議でイノベーティブなアイデアが生まれることは、ほぼないでしょう。

仮にイノベーティブなアイデアを提案したとしても、まわりから「こんな商品はどこにニーズがあるのか?」「売れなかったらどうするのか?」と総攻撃されます。

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