石を売ろうとして売れなかった男の超痛い黒歴史 高校時代のバイトで魔が差した後に受けた制裁

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石を100円で売ろうとしたら
ただの石を売ろうとして、まるで売れない時に思い出した苦い記憶とは?
「お金の呪いから解き放たれたい」という切実な願いから、なんの変哲もない石を手づくりマーケットで売り始めたワクサカソウヘイさん。
しかし、石はいっこうに売れず、期せずして過ごす「望んでいない暇」な時間。
その苦痛さに、ある悪事がきっかけとなって訪れた、地獄のような高校時代のある時期のことを思い出します。
文筆家・脚本家、また、構成作家として多くの舞台、コントにも携わるワクサカソウヘイさんが、衣食住の呪いを解こうと体当たりで奮闘した記録『出セイカツ記 衣食住という不安からの逃避行』より、ワカクサさんが実際に体験した、経済にバグを起こすための「石とお金をめぐる冒険」全4回連載の第3回をお届けします
第1回:スネ夫に憧れた男が金に困った末に辿り着いた道(11月29日配信)
第2回:何の変哲もない石をお金に換えた男の超劇的瞬間(11月30日配信)

『手づくり市』で拾った石を売ってみた

その日は、絵に描いたような晴天だった。

雲一つないその秋晴れの下で、私は手製のカウンターを前に、石を売っていた。

用意されているのは、盆のうえに並べた小石たちと、「石ひとつ100円」とプリントされたA4用紙だけ。ペライチのその看板は、爽やかな風を受けて、ピラピラと端を揺らしていた。

近所の公園で開催されている『手づくり市』なるものに、私は出店者として参加していた。

なんの変哲もない石を、大真面目に売りたい。なんの変哲もない石を大真面目に売ることで、「不真面目な労働」をこの世に提示したい。「不真面目な労働」であっても金銭が得られることをはっきりと証明したい。そして、「真っ当な労働をすることでしか手に入らないもの」と思われていたお金の実の正体を、暴いてやりたい。

そんな謎の正義感に突き動かされて、私はこの『手づくり市』に参加していた。

出店の申請をする際、主催者側はかなり困惑の表情を浮かべていた。それはそうだ。だってこれは『手づくり市』なのである。他の出店者は、手編みのマフラーであったり、DIYで作った本棚であったり、自家焙煎のコーヒーを売ったりしているマーケットフェスなのである。そんな中で、「石を売りたいんですけど……」と言い出す猫背の男が現れたら、主催者側としてはそりゃ戸惑うだろう。

次ページ「私が売ろうとしている石は、天ぷらなのです」
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