3時間以上の映画が最近増えたなるほどな事情 長時間化の背景にNetflixとマーベルの存在
幅広いジャンルのオリジナルコンテンツを充実させることで新規会員の獲得と既存の会員の保留を狙うNetflixは、メジャースタジオと違い、作品1本ごとに損得勘定をしない。賞レースのたびに名前が挙がる、玄人に愛される映画監督の作品を自分たちのところで作り、「アカデミー賞候補作を見たいならここ」というイメージを築くことを、彼らは大きなプラスととらえる。
だから彼らは、有名な監督が何かプロジェクトを持ち込んでくると、気前よくお金を出してあげるのだ。マーティン・スコセッシの『アイリッシュマン』も、そのひとつ。スコセッシはこの映画をパラマウントで作ろうとしていたが、製作費が1億ドルを超えると判明して拒否された結果、Netflixに持っていったのである。その結果、スコセッシは、3時間29分もの上映時間とたっぷりのお金をかけて、自分が語りたかった話を語らせてもらうことができた。
インディーズ映画の監督として活躍してきたノア・バームバックも、最近の2本をNetflixで作っている。離婚する夫婦の状況を描く『マリッジ・ストーリー』は、それほど予算は大きくなかっただろうが、今のハリウッドのメジャースタジオは作りたがらないタイプの映画だった。
来月配信開始となる最新作『ホワイト・ノイズ』は、電車の事故や車が水に浮かぶなどアクションシーンもあってかなりお金がかかるうえ、見る人を選ぶ映画で、これまたメジャースタジオでは絶対に企画が通らない。前述した『バルド、偽りの記憶と一握りの真実』も、同じくお金がかかるわりに商業的に成功する可能性は低い映画だ。
Netflixはそれらの作品を温かく受け入れるばかりか、口出しもしない。長年の夢を実現してストップモーション・アニメーションのピノッキオ映画を監督したギレルモ・デル・トロも、どのスタジオに売り込んでも断られたこのプロジェクトをNetflixは了承してくれたばかりか、製作中何も注文をつけてこなかったと語っている。来月配信開始の『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』の尺は、1時間56分。一見、普通ではあるが、これまで作られたピノッキオ映画に比べれば長い。
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