3時間以上の映画が最近増えたなるほどな事情 長時間化の背景にNetflixとマーベルの存在

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そんな中、メジャースタジオも、巨匠を引き止めたいなら同じように自由を与えなければならなくなった。史上最年少でアカデミー賞監督賞を受賞したチャゼルがパラマウントで作った『バビロン』は、その例と言えるだろう。ハリウッドの初期を描くというテーマが幅広い層にアピールするかどうかは疑問ながら、ブラッド・ピット、マーゴット・ロビー、トビー・マグワイアという大スターが出るとあって、華はある。何よりチャゼルならばまた賞を狙えるということで、賭けたのではないか。

次に、マーベル。『アイアンマン』、『マイティ・ソー』、『キャプテン・アメリカ』など初期の作品の上映時間は、ほぼ2時間と普通だった。しかしマーベルのブランドとしての人気が拡大し、どんどんキャラクターが増えて彼らが一緒に出てくるようになるにつれ、必然的に長くなってきている。

また、マーベルの新作が公開されるのは、もはやひとつのイベントとなった。楽しみにやってきた観客にたっぷりのアクションシーンとユーモアを提供するのは、大事なファンサービスだ。ファンは、大好きなキャラクターが暴れ回る様子をたくさん見て「長い」とは思わない。そしてマーベルは、いつも、自分たちが誰のために映画を作っているのか、ちゃんとわかって作っている。

そこはとても重要。観る人が楽しいのならば、映画の長さは関係ないのだ。『タイタニック』(3時間9分)も、『アバター』(2時間42分)も、長すぎると文句を言う人は誰もいなかった。そこは、巨匠たちも、多少は意識するべきところだろう。

観客視点に立てるか

いくら完全な自由を与えられ、自分のクリエイティビティを最大限に発揮して芸術性の高い映画を作ったとしても、「観ている人にとってどうなのか」という視点が欠けていたら、自己陶酔になってしまい、観客を置いてけぼりにしてしまう。残念ながら、そういう映画は時々ある。

だいぶ前に筆者がインタビューした時、ダニー・ボイルは、「どんな話でも2時間以内で語れる」と語っていた。彼の作品で一番長い『スティーブ・ジョブズ』の上映時間は2時間2分、その次が『スラムドッグ$ミリオネア』の2時間。その言葉には説得力がある。とはいえ、繰り返しになるが、面白ければいいのだ。この冬、映画ファンのみなさんが良い映画をたくさん楽しめますように。

猿渡 由紀 L.A.在住映画ジャーナリスト

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さるわたり ゆき / Yuki Saruwatari

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒業。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場リポート記事、ハリウッド事情のコラムを、『シュプール』『ハーパース バザー日本版』『バイラ』『週刊SPA!』『Movie ぴあ』『キネマ旬報』のほか、雑誌や新聞、Yahoo、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。

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