「社員のボランティア活動」と株価の意外な関係 参加が増えた企業と減った企業を比較した結果

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ボランティアと企業の株価の関係とは?(写真:polkadot/ PIXTA)

上場企業を中心にボランティア休暇の導入が進むなど、働きながらボランティア活動をするための環境が徐々に整いつつあります。今回は社員のボランティア活動への参加が増えた企業と減った企業の間で、株式パフォーマンスにどのくらいの違いがあるのか、調べてみました。

行きすぎた足元の利益追求で企業の持続可能性は下がる

近年、ちまたではサスティナブルという言葉を聞く機会も増えましたが、企業経営でもサスティナブル経営(サスティナビリティ経営)が求められるようになってきました。サスティナブル経営と聞いて、ピンとくる方もそれほど多くないかもしれません。サスティナブルは日本語で“持続可能な”という意味です。持続可能とは “遠い将来に向けて続けていく”ということ。ですからサスティナブル経営とは「自社の企業活動を、遠い将来に向けて続けていくための経営」になります。

それだけ聞くと“企業を経営するうえで当たり前じゃないか”と思うかもしれません。しかし意外にも実践することは難しいようです。経営者は遠い将来より、足元の会社の利益の動きに意識が向かいがちだからです。

数年前になりますが、自動車メーカー数社で完成車検査の不正が発覚したことを覚えている方もいるかもしれません。これこそ行きすぎた足元の利益追求のために起こった典型事例です。

製造を終えたクルマは国が定める安全基準の検査に合格しないと完成車になりません。ある自動車メーカーでは、一定の知識や技能を持つ有資格者が行わないといけない検査を、無資格者に行わせていました。クルマの安全性を重視するなら検査は厳格に行われる必要があります。しかし、人手不足への対応や従業員教育が十分に行われなかったことなどから、企業のコンプライアンス(法令遵守)に対する判断が甘くなってしまいました。

少ない人手や従業員への研修を削るなどコストを抑えれば、そのときの利益は増えます。しかし不正の発覚で信用が失われてしまえば、企業の持続可能性(サスティナビリティ)は大きく下がってしまいます。

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