W杯「日本vsドイツ戦」プロの観戦術、3大ポイント 「"ここ"に注目するだけ」で俄然、面白くなる!

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【ポイント3】「押し込まれたときにどうやって抜け出すか」

どうボールを奪うかを準備しても、ドイツと日本の力の差はいかんともしがたい

前半の途中くらいから、日本は自陣に押し込まれる時間が長くなっていくだろう。日本のペナルティエリアのやや外に、日本のフィールドプレーヤー7~8人が集まる状況になるはずだ。

そのとき大事なのが、マイボールになったときにどう密集を抜け出すかだ。

ドイツの選手たちはボールを失った瞬間に、ものすごい勢いで奪い返そうとしてくる。ドイツ語では「ゲーゲンプレッシング」(意訳すると「即時奪回」)と呼ばれている。

ボールを拾った日本の選手が少しでも躊躇したら、ドイツの「ゲーゲンプレッシング」の波に飲み込まれてしまうだろう。

ドイツ戦は「日本がボールを奪い返した瞬間」に注目

そこで日本は今回、「どこへ素早くボールを蹴るか」を事前に決めている。たとえば、サイドの遠い位置には相手がいないことが多いため、そこへ目掛けて蹴るという感じである。

チームメイトがそこへ走っているかを確認してから蹴ると、時間をロスしてしまうため、見ないで蹴っても成立するようにしなければならない。味方がボールを持った瞬間、他の選手がそのスペースに走るという約束事を設けておくのである。

カタールW杯の日本代表の攻撃をチェック
出所)木崎伸也『サッカーの見方は1日で変えられる』

ボール奪取から2秒以内、場合によっては1秒以内に抜け出さなければ、ドイツの「ゲーゲンプレッシング」の餌食になってしまうだろう。

ドイツ戦を見る際は、「日本がボールを奪い返した瞬間」に注目してほしい。そこで相手に潰されずに縦にボールを運べるようだと、日本にも勝機が出てくる。

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木崎 伸也 スポーツライター

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きざき しんや / Shinya Kizaki

1975年東京都生まれ。中央大学大学院理工学研究科物理学専攻修士課程修了。2002年夏にオランダに移住し、翌年からドイツを拠点に活動。高原直泰や稲本潤一などの日本人選手を中心に、欧州サッカーを取材した。2009年2月に日本に帰国し、『Number』『週刊東洋経済』『週刊サッカーダイジェスト』『サッカー批評』『フットボールサミット』などに寄稿。おもな著書に『サッカーの見方は1日で変えられる』(東洋経済新報社)、『クライフ哲学ノススメ 試合の流れを読む14の鉄則』(サッカー小僧新書)など。

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