83歳妻に株を売るように迫る 「成年後見人」の罠 認知症を疑われた高齢者の後見人トラブル

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本来、自治体は住民の私的な生活には積極的に関与しない「民事不介入」が原則だ。ところが、成年後見制度はそうなっていない。

成年後見制度には本人が後見人を決める「任意後見」と家庭裁判所が後見人を決定する「法定後見」の2種類がある。法定後見は本人や近親者が申し立てることが原則だ。それが近年では大きく変わってきた。市区町村長による申し立てが増えているのだ。

市区町村から弁護士を紹介される

成年後見制度が始まった2000年、実子からの申し立ては全体の約4割で、市区町村長からの申し立ては0.5%だった。それが2021年には、市区町村長の申し立てが全体の23%に激増し、実子による申し立ては21%に減少。本人による申し立ては3%から21%に増えた。

だが、中には名前だけ本人に書かせ、それ以外の必要項目の記入は地域包括支援センターや社会福祉協議会、自治体が書いているケースもある。

市区町村は申し立てに必要な後見人の候補を推薦するとき、弁護士、司法書士、行政書士を紹介することが多い。今では新規後見人のうち弁護士などが占める割合は8割を超えた。

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