「奨学金210万円」借りた宗教2世が抜け出した家 彼女は奨学金でカルトにハマった母から逃げた

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岡田美恵子さん(仮名・44歳)は、奨学金約210万円を借りて地方の国立大学に進学した女性。進学には、カルトにハマった母から距離を取る意味合いもあったと振り返ります(写真:mits/PIXTA)
これまでの奨学金に関する報道は、極端に悲劇的な事例が取り上げられがちだった。
たしかに返済を苦にして破産に至る人もいるが、お金という意味で言えば、「授業料の値上がり」「親側におしよせる、可処分所得の減少」「上がらない給料」など、ほかにもさまざまな要素が絡まっており、制度の是非を単体で論ずるのはなかなか難しい。また、「借りない」ことがつねに最適解とは言えず、奨学金によって人生を好転させた人も少なからず存在している。
そこで、本連載では「奨学金を借りたことで、価値観や生き方に起きた変化」という観点で、幅広い当事者に取材。さまざまなライフストーリーを通じ、高校生たちが今後の人生の参考にできるような、リアルな事例を積み重ねていく。

大学で学びカルト宗教から抜け出した宗教2世

奨学金、借りたら人生こうなった (扶桑社新書)
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日本学生支援機構(JASSO)が公表している「令和2年度 学生生活調査」によると、奨学金を受給(貸与・給付)している学生の割合は、「大学(昼間部)が49.6%、短大が56.9%」と、今では2人に1人になるという。

これまで見てきたように、奨学金を借りるに至るまでには「貧しかったから」「きょうだいが多かったから」など、人によってさまざまな理由がある。

そんな中「カルトにハマった親から抜け出すため」と、語るのは関西出身の岡田美恵子さん(仮名・44歳)だ。

「私はいわゆる宗教2世です。物心もつかない頃から、保育園にも幼稚園にも行かず、親に連れられて布教活動をさせられていました」

次ページ大学に通うことができた「宗教2世のifルート」
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