「奨学金210万円」借りた宗教2世が抜け出した家 彼女は奨学金でカルトにハマった母から逃げた

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現在、病院でリハビリテーションの作業療法士として働く岡田さん。復学を機に猶予してもらっていた奨学金の返済も、その後は育児休暇中であっても止めずに20年間払い続けた。今を切り開いてくれた奨学金制度には、感謝の思いが強いという。

「奨学金を借りられて家を出ていったからこそ、親の援助を受けずに自立して、親の影響、とくに宗教の影響から離れられたということは大きかったです。高校卒業後もずっと家にいたら、親や宗教からは逃れられなかったと思うんです。自立した生活ができたことで、世界が広がりましたし、今のような生活ができるようになったのでしょう」

一時期断絶していた家族との関係は

こうして、20年近く前に親元を離れた岡田さんだが、今や2児の母となった。肝心の家族との関係はどうなったのだろうか?

奨学金借りたら人生こうなった
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「一時期断絶していましたが、父親が病気になったのを機に、私も実家に足を運ぶようになりました。今は近くの県に住んでいますし、職業柄、医療には詳しくなったので、一緒に住むことはありませんが、割り切って付き合うことができるようになりました。

まあ、母親からはいまだに『滅びの日は近い』みたいなLINEは送られていますが……それは全部無視しています。本人が好きでやっている分には構いませんが、子どもたちには押し付けないでほしいですよね。たまに、『孫と遊ぶ』と言いながら、宗教の動画を見せているようですし……。

私は宗教2世として、これまで生きてきてたくさんの苦労を経験してきたので、子どもたちには『世の中にはいろんな人がいて、いろんな考え方があるんだよ』といった内容の絵本を読み聞かせて、可能な限り宗教にはハマらないように伝えています」

奨学金のおかげで、岡田さんは信仰という呪縛から解き放たれることができた。しかし、いくらそこから離れようとも、親との関係がある限り、根源から逃れられることはないようだ。

それでも、狭い世界から飛び出し、大学に進んだことで得た知見とその視野の広げ方は、子どもたちに伝えていくことができるだろう。

千駄木 雄大 編集者/ライター

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せんだぎ・ゆうだい / Yudai Sendagi

編集者/ライター。1993年、福岡県生まれ。奨学金、ジャズのほか、アルコール依存症に苦しんだ経験をもとにストロング系飲料についても執筆活動中。奨学金では識者として、「Abema Prime」に出演。編集者としては「驚異の陳列室『書肆ゲンシシャ』の奇妙なコレクション」(webムー)なども手掛ける。著書に『奨学金、借りたら人生こうなった』(扶桑社新書)。原作に『奨学金借りたら人生こうなる!?~なぜか奨学生が集まるミナミ荘~』がある。毎月、南阿佐ヶ谷トーキングボックスにて「ライターとして食っていくための会議」を開催中。

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