ーー被害者救済法は統一教会を念頭に置き、悪質な寄付の勧誘を規制するといった経済的な被害を防止することに主眼が置かれています。
経済的な被害、または宗教2世の被害は統一教会だけの問題ではありません。私が主催している宗教2世当事者たちの自助グループ参加者数で言うと、最も多いのはエホバの証人(以下、エホバ)で、次いで創価学会、統一教会という状況です。
エホバの場合、統一教会のような高額献金はないと言われていますが、長時間に及ぶ奉仕活動を強いられるため大学進学がかなわず、学歴のために正社員になれない人も多い。そうした人は経済的自立も難しい。献げるものが現金ではないだけで、実際には「時間の献金」をしています。
ガスホースで殴打
ーーエホバの2世は体罰に苦しむ人がいますが、横道さんはどうでしたか。
エホバは聖書の言葉に忠実に従う教育をします。聖書にはムチをもって懲らしめなさいと書いてあるため、それに基づいて子どもをしつけるわけです。
このムチによる体罰が盛んだった1960~1990年代に育った世代は「ムチ世代」と呼ばれます。1980年代に幼少期を過ごした私もそうです。日常的に母親からひどい暴力を受けていました。体罰は家庭によって程度や頻度に差がありますが、私の場合はほぼ毎日体罰で脅されていました。些細な言動で怒られ、母親が「ムチ」を決めると、正座をさせられた後にガスホースで殴打されました。
ーー体罰の問題や、進学や就労を制限される以外にはどのような問題がありますか。
エホバの「排斥システム」は深刻です。バプテスマ(洗礼)を受けた後に教義に反した信者は組織から排斥(除名処分)されることがあります。排斥されると、友人や家族であっても信者とは交流できなくなります。一緒に住んでいる家族とも最低限の会話しかできません。排斥が解けないことに絶望し、鬱になる人もいます。
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