毎日フラッシュバックする「宗教虐待」の心の傷 宗教2世を苦しめ続ける「時間の献金」と体罰

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「エホバの証人」の子ども向けの書籍。バプテスマ(洗礼)を受けることが推奨されている(記者撮影)
世界平和統一家庭連合(以下、統一教会)をめぐる被害者救済新法が2023年1月5日に施行された。安倍晋三元首相を銃撃する事件を起こした山上徹也容疑者が統一教会の「宗教2世」だったことから同教団の被害が浮き彫りになり、救済新法に結びついた。
しかし、「宗教2世」問題は、統一教会だけの話ではない。
2世当事者からの被害報告が多く聞こえてくるのがキリスト教系の新宗教「エホバの証人」(以下、エホバ)だ。原理主義的な縛りに耐えられず脱会すると、家族や友人たちとの交流が絶たれ、孤立してしまう。(詳細は「脱会した宗教2世が『母に会えない』過酷な現実」「宗教虐待で心を病んだ兄が親から絶縁される残酷」
宗教2世当事者による自助グループを主宰し、自らもエホバ2世である京都府立大学准教授の横道誠氏に話を聞いた。

ーー被害者救済法は統一教会を念頭に置き、悪質な寄付の勧誘を規制するといった経済的な被害を防止することに主眼が置かれています。

経済的な被害、または宗教2世の被害は統一教会だけの問題ではありません。私が主催している宗教2世当事者たちの自助グループ参加者数で言うと、最も多いのはエホバの証人(以下、エホバ)で、次いで創価学会、統一教会という状況です。

エホバの場合、統一教会のような高額献金はないと言われていますが、長時間に及ぶ奉仕活動を強いられるため大学進学がかなわず、学歴のために正社員になれない人も多い。そうした人は経済的自立も難しい。献げるものが現金ではないだけで、実際には「時間の献金」をしています。

ガスホースで殴打

ーーエホバの2世は体罰に苦しむ人がいますが、横道さんはどうでしたか。

エホバは聖書の言葉に忠実に従う教育をします。聖書にはムチをもって懲らしめなさいと書いてあるため、それに基づいて子どもをしつけるわけです。

このムチによる体罰が盛んだった1960~1990年代に育った世代は「ムチ世代」と呼ばれます。1980年代に幼少期を過ごした私もそうです。日常的に母親からひどい暴力を受けていました。体罰は家庭によって程度や頻度に差がありますが、私の場合はほぼ毎日体罰で脅されていました。些細な言動で怒られ、母親が「ムチ」を決めると、正座をさせられた後にガスホースで殴打されました。

ーー体罰の問題や、進学や就労を制限される以外にはどのような問題がありますか。

エホバの「排斥システム」は深刻です。バプテスマ(洗礼)を受けた後に教義に反した信者は組織から排斥(除名処分)されることがあります。排斥されると、友人や家族であっても信者とは交流できなくなります。一緒に住んでいる家族とも最低限の会話しかできません。排斥が解けないことに絶望し、鬱になる人もいます。

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