enaはなぜ「都立中高一貫校」に強いのか 全10校中7校で合格者数トップに

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一般的な私立中であれば、問題は国語・算数・社会・理科が科目ごとに出題される。一方、都立中は「適性検査」という名称で、各科目の要素が入り交じった問題が出される。しかも、回答は数百字で論理的に結論を導き出すことを求められる。私立向けの受験勉強だけをしてきた学生だと、簡単に対応できないのだ。

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復習ノートで論理的な思考の定着を図る

そこでenaは、8年前から都立中の受験に特化する方針に転換。3年前には都立中受験のための独自教材を開発するなど、同業他社とは異なる戦略を押し進めている。

たとえば、都立中の適性検査は50%以上が理系に属する問題なので、計算力が必須。そこで、計算の練習やパズル系の問題に毎日取り組ませる。そのうえで、計算の確認テストや学力判定テストを定期的に実施。

さらに、復習ノートを作らせて、できなかった問題をやり直す。論理的な回答が求められる都立中入試に対応して、思考過程も書かせることで、足りていなかった部分を反芻させる。

作文演習で偏差値に大きな差

中でも力を入れているのが、作文演習だ。往々にして小学生は長文を書くのが苦手で、最初は絵日記程度の内容しか書けない。なので、まずはイエスかノーかの意見文を書かせることから始める。次に、意見、体験、まとめ、といったパートごとに書かせ、最終的にまとまった文章にするという過程を踏む。

enaでは最低でも2回は書き直させ、年間だと200本近くの文章を書かせるという。「これだけ書くと、子供たちは上手なんだと思い込む。訓練していない子と比べて、倍くらい偏差値で差がつく」(池田清一専務)。こうした地道な営為の積み重ねが、合格実績に反映されている。

とはいえ、ここまでの道のりは平坦ではなかった。「8年前に河端真一社長が都立中路線を打ち出したとき、ものすごい抵抗があった。社長1人対社員300人の戦いだった」と、池田専務は振り返る。

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