これは前回、10月22日付の当欄で寄稿した「架空政治小説」どおりの進行ということになる。上院の多数がどっちに転ぶか、あと1カ月もわからないとなれば、アメリカ政治は不安定な状態が続くことになる。
このままだと「政府閉鎖」の事態に
普通なら、今月後半には始まるはずの「レームダック・セッション」の雲行きはまことに危うい。年末までに議会最後の会期を開かねばならないのだが、これだけ対立が先鋭化していると与野党の歩み寄りが難しくなるおそれがある。
そんな中で心配になるのは、本来なら10月1日に始まっているはずの2023年度予算が未成立であるということだ。現在は「つなぎ予算」でしのいでいるが、12月16日には切れてしまう。
せめて予算の延長を決めてもらわないと、アメリカ政治におなじみの「政府閉鎖」が到来することになる。そうなれば国民生活への影響も甚大である。喜ぶ人は誰もいないというのに、与野党ともにメンツが懸かっているから動きがとりにくい。
外交日程も待ったなしである。中間選挙が終わるや否や、11日から大型国際会議の「3レンチャン」が控えている。11~12日はカンボジアで東アジアサミット、15~16日はインドネシアでG20首脳会議、そして18~19日はタイでAPEC首脳会議である。
多くの国の首脳が、東南アジア3カ国にやってくることになるはずだ。われらが岸田文雄首相も皆勤賞で、約10日間をかけてプノンペン、バリ島、バンコクを駆け抜ける予定である。
ちなみに11月6日からは、エジプトの観光地シャルム・エル・シェイクにおいて、気候変動条約枠組み会議ことCOP27が行われている。日本は来年のG7議長国なのだから、岸田さんも本当はこちらへも顔を出したいところながら、旧統一教会問題で難航する国内政局と気候変動問題への「お土産不足」のために出席がかなわないらしい。
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